【職業安定法】出向へ切り替えると違法か
2008/11/28
■ 2009年問題の対応で、偽装とみなされる形態は

【問】
 「2009年問題」への対応策の1つとして、派遣契約を出向契約に切り替える案が浮上しています。
 
 しかし、「偽装出向」とみなされると、法的な問題が生じると聞きます。

 偽装出向とは具体的にどんな形の契約形態を指すのでしようか。

● 手数料オンする契約ダメ

【答】
 製造業務等で派遣可能期間3年が満了した後、厚生労働省は直接雇用、受入への切替を推奨しています(平20・9・26職発第0926001号)。

 しかし、それ以外にも、例えばお尋ねにあるように出向への切替等を提案する人材ビジネス会社もあるようです。

 労傲契約法に関する行政解釈(平20・1・23基発第0123004号)では、「在籍出向とは、出向元と出向を命じられた労働者との間の労働契約関係が終了することなく、出向を命じられた労働者が出向先に使用されて労働に従事すること」と定義しています。

 労働者を送り出す会社と労働者の間、受け入れる会社と労働者の間、双方に雇用関係が生じるタイプの人材スキームは、労働者供給事業の一種とみなされます。

 労働者供給事業とは、「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、派遣を含まないもの」と規定されています(職業安定法第4条第6項)。

 ただし、「供給契約とは契約の形式をいうものではなく、実態によって判断」するのが原則です(労働者供給事業業務取扱要領)。

 出向契約という名称で契約を結んでも、供給事業に該当します。

 労働者供給事業は、労働組合が許可を受け無料で行うほかは禁止されています(職業安定法第44条、第45条)。

 しかし、「業として行わない」限り、違法性はありません。
 
 次のような目的で出向を実施している場合、社会通念上、業として行っていないと判断されます。

@ 関係会社で雇用機会を確保するため
A 経営指導や技術指導のため
B 人材開発の一環として
C 企業グループ内の人事交流の一環として

 「営利目的か否か」は、直接の判断基準ではありません(業務取扱要領)。

 しかし、派遣契約を出向契約に切り替え、以前と同様に人材ビジネス会社にコミッションを落とす形でスキームを組めば、出向の目的は@〜Cのいずれにも該当せず、偽装出向とみなされる可能性が高いでしょう。

【厚生年金保険法】老齢年金選択が得か
2008/11/28
■ 障害受給しつつ就労

【問】
 年金制度には、一人一年金の原則があり、「老齢」と「障害」のように支給事由の異なる年金は一部を除いて併給されないと聞きました。

 例えば、障害基礎年金を受給しながら働いた場合、納めた保険料を考えると65歳以降は老齢基礎年金を選択した方が得なのでしょうか。

● 65歳以上は併給可能に

【答】
 1・2級の障害基礎年金と併給される障害厚生年金は、入社後まもない時期に受給を開始しても、最低保障があり被保険者期間300月で計算します(厚年法第50条)。

 しかし、その後再び就労して厚生年金保険料を納めたとしても受給している年金額は変わりません(同法第51条)。

 障害者の就労が年金に反映されにくい仕組みでしたが、平成18年4月からは、65歳以上に限り、障害基礎年金と老齢厚生年金等の併給が可能となっています。

 被保険者期間が長くなればなるほど、老齢厚生年金を選択するメリットは大きくなります。

 一方、不就労期間の国民年金保険料(第1号)が法定で全額免除されている関係で、老齢基礎年金は低額になりがちです。
 
 ですから、働いて保険料を納めた期間が長い人の場合、障害基礎年金と老齢厚生年金の組合わせが有利です。

【労働基準法】労働者数にカウント?
2008/11/28
■ ペア勤務の高齢者

【問】
 従業員数が10人を超えると、就業規則の作成義務が生じるといいます。

 たとえば、高齢者のワークシェアリング制度を導入し、1人の仕事を2人でシェアした結果、従業員数が10人を超えても、対象になってしまうのでしょう
か。

● 10人へ含めて就業規則件成

【答】
 就業規則の作成義務を負うのは、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」です(労基法第89条)。

 常時とは、「時として10人未満になることはあっても、常態として10人以上の労働者を使用するという意味」と解されています(労基法コンメンタール)。

 ご質問は、ワークシェアリングにより本来1人分の仕事を2人に分け、週2日、3日勤務の人が生じても、1人とカウントすべきか、というものです。

 この点については、労働時間関係の行政解釈(昭63・3・14基発第150号)があり、「週2日勤務でも継続的に労働している者は労働者数に入る」という考え方が示されています。

 商業・サービス業等の44時間特例を適用する「10人未満」に該当するか否か等を判断する基準となるものですが、就業規則についても同様に考えるべきでしょう。

【労働基準法】過半数社員は正社員を選出か
2008/11/25
■ 管理職と非正規で構成、労使協定締結したいが

【問】
 当社には、営業所長、嘱託(定年後再雇用者)、パートのみが勤務する営業所があります。

 時間外労働等の対象者がいないので、36協定等は締結していません。

 しかし、人事課内で「計画年休の協定は必要ではないか」という声があります。

 この場合、「過半数代表者」をどう遠出するのでしょうか。

● 嘱託・パートでも可能

【答】
 労使協定締結の単位となる事業場は、「主として場所的観念によって決定」しますが、「出張所、支所等で規模が著しく小さく、独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して取り扱う」のが原則です(平11・3・31基発第168号)。

 貴社では、独立の事業場として適用事業報告(労基則第57条)を提出しているか否か、まず確認してください。

 お尋ねの営業所が一の事業場に該当する場合でも、たとえば「時間外労働が法定範囲を超えない限り36協定の必要はない」(前掲通達)と解されています。

 営業所長は管理職で時間外の適用外、嘱託・パートは時間外労働を予定していないというケースでは、36協定が締結されていなくても問題ありません。

 しかし、営業所長が(嘱託社員を「スタッフ職」として管理職扱いしているときは嘱託社員も)本当に管理職に該当するか、確認が必要です。

 基本的には、昭63・3・14基発第150号の基準に則って判断しますが、支所等が「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗」に当たるときは、平20・9・9基発第0909001号通達にも注意が必要です。「パート等の採用・考課の権限がない」、「部下と同様の勤務態様が大半を占める」、「役職手当等が不十分」等の事実があれば、要チェックです。

 ご質問の営業所は管理監督者(労基法第41条第2号)以外の従業員が在籍するので、そのなかから過半数代表者を選出します。

 正社員でなく嘱託・パートのみでも」過半数代表者になり得ます。

 パート等がいなくて、嘱託も含めすべて管理職という事業場(管理監督者に該当するという判断が正しいとして)については、管理監督者のなかから過半数代表者を選ぶことができます(平11・1・29基発第45号)。

 次の協定については、管理監督者のみの事業場でも締結が必要です。

・ 社内預金
・ 賃金控除
・ 年休の計画的付与
・ 年休の賃金(標準報酬日額を用いる場合)

【健康保険法】賞与出ると傷手金減額?
2008/11/25
■ 休業前出勤分を支給

【問】
 休業期間中に、報酬が支払われると傷病手当金は減額するはずですが、休業前の出勤に基づいて賞与が支給された場合も同様に減額されてしまうのでしょうか。

● 3カ月超える貸金は除外に

【答】
 傷病手当金の額は、1日について標準報酬日額の3分の2に相当する額です(健保法第99条)。

 傷病手当金の支給条件のひとつに、「給料(報酬)の支払いがないこと」という条件があります。

 傷病手当金は生活保障のためのものですから、会社が給料を支払っている間は傷病手当金は支給されません。

 給料が支払われても、傷病手当金より少ないときは、その差額が傷病手当金として支給されます(健保法第108条)。

 「残りの3分の1は、会社で負担しよう」などと考えると、この3分の1は給料として差し引かれ、傷病手当金の額は、3分の1になってしまいます。

 では、賞与の場合はどうでしょうか。

 傷病手当金が支給調整を受けるのは「報酬」なので、健康保険法第3条で「賞与」と定義される3月を超える期間ごとに受ける賃金は支給調整の対象とはなりません。

 もし、その賞与が年4回以上支払われるものだったら支給調整の対象となります。

【労災保険法】任意加入の規定条文は
2008/11/25
■ 同意必要だったはず

【問】
 農林・水産業等は労災保険の適用除外だけれど、従業員の過半数代表の同意を得て、任意加入できたと記憶します。

 しかし、労災保険法をあちこち調べても、該当する条文がみつかりません。

 どこに規定してあるのでしょうか。

● 本法でなく「整備法」に

【答】
 労災保険では、国の直営事業・官公署等を除き、労働者を使用する事業はすべて適用事業となります(労災保険法第3条)。

 しかし、失業保険法・労災保険法等整備令第17条で、個人で常時5人未満の労働者を使用して次の事業を行う場合は「暫定任意適用事業とする」と規定しています。

@ 農林の事業
A 畜産、養蚕または水産の事業

 暫定任意適用事業でも、事業主が厚生労働大臣の認可を受ければ、労災保険に加入することができます。

 労災保険料はすべて事業主負担ですから、労働者の同意は不要です。

 ただし、「労働者の過半数が希望するときは、申請」する義務があります(整備法第5条)。

 ちなみに、雇用保険法では、本法附則第2条で暫定任意適用事業の範囲、徴収法附則第2条で任意加入の条件を規定しています。

 こちらは、労働者の2分の1以上の同意が必要です。

【労働基準法】12日連続勤務は違法か?
2008/11/17
■ 繁忙期でないが土日出勤・・・1年単位の変形制を採用

【問】
 当社では、1年単位変形労働時間制を採用しています。

 業務繁忙を予定していない期間(特定期間以外の期間)に、突発的な事情で休日出勤させざるを得なくなりました。

 土・日ともに出勤させると、2週にまたがり12日連続勤務となります。

 これは、法律違反となってしまうのでしょうか。

● 休日として割増支払いを

【答】

 休日は、毎週1回(または4週4日)以上付与するのが原則です(労基法第35条)。

 「休日を特定すべきことを要求していないが、具体的に一定の日を休日と定めるよう指導する」(昭23・5・5基発第682号)という扱いとなっています。

 しかし、1年単位変形労働時間制については、連続労働日数の制限が明記されています。

 通常期間は連続労働6日が限度→特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間として、労使協定で定めた期間)は「1週間に1日の休日が確保できる日数(=連続12日)」が限度となります(労基則第12条の4第5項)。

 特定期間以外の期間については、休日を日曜なら日曜に固定しないと、連続6日の要件を満たさなくなります。

 原則日曜休日の職場で、土・日を連続で労働日とする勤務割を組むと問題が生じます。
 
 月曜から6日連続で土曜までの勤務は可能ですが、日曜で7日目になってしまいます。

 対応として、まず考えられるのが振替休日ですが、行政解釈(平11・3・31基発第16瑠号)で次のとおり要件が定められています。
@ 就業規則で振替の根拠規定を設ける
A 対象期間(特定期間を除く)においては連続労働日数6日以内
B 特定期間においては1週間に1日の休日確保

 振替によって問題を解決するためには、土曜を同一週内の他の日と振り替え、日曜を翌週のいずれかの日と振り替えるほかありません。

 それでは、仕事が忙しくて、そうした対応が不可能なときは、どうすればよいのでしょうか。

 法定休日に労働させた場合、休日割増を支払えば適法に休日を与えたことになり、「代休を与える法律上の義務はない」(平11・3・31基発第168号)と解されています。

 お尋ねのケースでは、法定休日は確保されています(第1週の日曜、第2週の土曜)。

 ですから、土・日を労働日に振り替えるのではなく、法定外休日出勤として適法に処理すれば(割増賃金支払い、36協定等)、「連続労働日の設定」の制限には抵触しません。

【労災保険法】一人親方のケガも報告?
2008/11/17
■ 特別加入の申請せず

【問】
 当社の現場において、一人親方が業務上負傷しました。

 全治1カ月の大ケガです。

 この方は労災保険に特別加入していませんでした。

 当社が、労働者死傷病報告を提出するのでしょうか。

● 労働者性ない・事業主は不要

【答】
 一人親方とは、建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設など)や貨物の運送の事業等を、労働者を使用しないで行うことを常態とするものをいいます。

 たまたま臨時に労働者を使用することがあっても差し支えありません(平13・3・30基発第233号)。

 元請・下請にかかわらず「労働者」については労災補償の対象となりますが、一人親方を含め事業主等については労災保険の特別加入(労災保険法第33条)をしていないと業務・通勤災害が起きても補償されません。
 
 労働者死傷病報告(安衛則第97条)とは、労働者が労働災害等で死亡しまたは休業したときに遅滞なく所轄労基署長に提出するものです。

 個人で仕事を請け負い、工事の完成に対して報酬を得る場合は、原則として労働者性が認められません。

 使用従属性や拘束性の有無等から、実体的に労働関係があるか否かの判断が行われます。

 特別加入の有無は影響しません。

【労働時間管理】残業週60時間は過重労働か?
2008/11/17
【問】
 過重労働の目安は80時間だと思っていたら、最近では、むしろ「週60時間」がボーダーラインとしてよく使われているようです。

 法改正等があったのでしょうか。

● 設定改善の指針が根拠

【答】
 過労死認定基準(平11・9・14基発第5544号)では、2〜6カ月平均で月80時間超の「時間外労働」がある場合、業務と傷病の関連性が強いと評価しています。

 これに基づき、安衛法の過重労働時の医師による面接指導についても、月100時間を超える場合(第66条の8、強制義務)のほか、努力義務(第66条の9)に基づき基準をそれ以下に引き下げる際には、「2〜6カ月で月80時間を超える労働者をすべて対象」とするように求めています(平18・2・24基発第0224003号)。

 しかし、11月の「労働時間適正化キャンペーン」でも、「週60時間(所定労働時間含む)」以上を一つの目安としてあげています。

 こちらは、労働時間等設定改善指針(平20・厚生労働省告示第108号)が基になっています。

 この数字自体は、ワーク・ライフ・バランスの行動指針で「週60時間以上の労働者の割合を10年後に半減する」と述べているのとリンクしています。

【最低賃金法】最賃減額制度で基準緩和か
2008/11/10
■ 「適用除外」と比較して・・・引上げで順守困難に

【問】
 最低賃金法が改正され、身障者等の適用除外の仕組みが「減額申請」に変わったと聞きました。

 当社には断続業務に従事する社員がいますが、減額申請する場合、以前と比べて基準が緩やかになったのでしょうか。

● 従来不可なら可能性低い

【答】
 改正後の最低賃金法では、5種類の労働者について都道府県労働局長に「減額の申請」ができると定めています(第7条)。
@ 精神・身体の障害者
A 試の使用期間中の者
B 一定の職業訓練受講者
C 軽易な業務に従事する者
D 断続的労働に従事する者
適用除外を減額申請に改めた理由は、「最低賃金の通用対象をなるべく広範囲とする(すべての労働者のセーフティーネットとする)」ためです(平20・7・1基発第0701001号)。

 しかし、基本的に「対象労働者の範囲については従来と変わるものではない」(前掲通達)とされています。

 ただし、最低賃金の表示を「時間単位」に統一(最賃法第3条)したのに伴い、一部、見直しが実施されています。

 第1に、日額表示がなくなり、その存在意義が失われたため、「所定労働時間の特に短い者」が対象から除かれました。

 次に、許可基準の改正により、軽易な業務に従事する者について「所定労働時間が他の労働者に比して長いときは、許可の限りでない」、断続的労働に従事する者について「実作業時間数が他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上であるときは許可しない」という文言が削られました(平20・6・1基発第0601001号)。

 ただし、まだ経過措置により日額表示の産業別(特定)最賃が一部残っているため、その間は旧規定に基づき許可の可否を決定する扱いとなっています(厚生労働省のパンフレットでも、この文言が残されています)。

 従来不可だった労働者について、新しく許可を得る可能性は低いと考えるべきです。

 改正法では、減額の限度が明文で示されました(最低賃金法施行規則第5条)。

 断続的労働従事者については、1日の所定労働時間から実作業時間数を控除した時間数、つまり手待時間について最低4割相当の賃金を保障する必要があります。

 ただし、一律、最低賃金をその水準まで引き下げるのではなく、職務内容・成果、労働能力、経験等を考慮して減額率を決定します。

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