【健康保険法】月変で残業代含めるか
2018/07/04
■ 業務繁忙時期が重なる

【問】

当社では、秋に人事異動があり、それに伴い手当等も変動します。

年末にかけて残業代等が増えれば、それも含めて標準報酬月額を見直すという理解で正しいのでしょうか。

4〜6月の定時決定には、特例があったはずですが・・・。

● 「年間平均」の制度新設

【答】

10月や11月からの3ヵ月間の報酬をみて、標準報酬月額が2等級以上変動すれぱ、標準報酬月額等級を見直す必要があります(健保法43条、昭36.01.26保発4号)。

住宅手当など固定的賃金の変動のみで2等級の差がない場合でも、残業手当などを含めて考えます。

4〜6月に定期昇給等があり、そのタイミングで残業が増えるときもご質問と同様の問題が生じます。

こちらは「年間平均」の算定が可能となっています。

2等級以上の差が、「業務の性質上、例年発生する」ことが見込まれ、被保険者本人が同意していることが条件です。

随時改定も保険者算定(健保法44条1項)を行う場合に年間平均を用いる取扱いになりました(平30.03.01保発0301第8号)。

適用されるのは平成30年10月以降の随時改定が対象です。

【雇用保険法】離職証明書に日数記載
2018/07/04
■ 6割のみで賃金水準も低下

【問】

雇用保険の離職証明書ですが、休業手当の支払いがあった場合、「賃金支払状況等」の備考欄に日数等を記載します。

基本手当の計算の際、金額が低くならないよう配慮するためと理解していますが、どのような形で調整が実施されるのでしょうか。

● 分子・分母から除外する

【答】

従業員(雇保の被保険者が退職したとき、事業主はハローワークに資格喪失届を提出します。

その際、原則として「雇用保険被保険者離職証明書」を添付します。

記載要領(雇用保険被保険者離職証明書についての注意)をみると、「休業手当(労基法26条によるもの)が支払われたことがある場合には、備考欄に『休業』と表示のうえ、休業日数および支払った日数を記載するよう求めています。

基本手当の計算ベースとなる賃金日額は、「最後の被保険者期間6ヵ月の賃金総額を180で除して」算出するのが原則です(雇保法17条1項)。

但し、基本ルールに従うと賃金日額が著しく低くなり、離職者に不利となるケースもあり得ます。

「賃金日額の算定が困難なとき、または算定した額を賃金日額とすることが適当でないと認められるとき」に関しては、様ざまな例外が定められています(同条3項)。

その一つとして、「休業手当が支払われた日(緊急対応型ワークシェアリングによるときは別に定める)がある場合の取扱い」があります(雇用保険業務取扱要領)。

被保険者期間にカウントされるのは、「賃金の支払基礎日数が11日以上ある月」です(雇保法14条)。

休業手当は賃金に該当するので、その支払日は「基礎日数」にも含まれます。

ですから、基本ルールに従えば、休業手当が支払われた月も含め、過去6ヵ月の賃金総額を180で除します。

しかし、休業手当は低額(賃金の6割)ですから、離職者の賃金水準が不当に低く評価される結果となります。

このため、月給者については「賃金の総額から休業手当の額を控除した額を180日から休業日数を控除した日数で除して得た額」を賃金日額とするという例外ルールが設けられています(日給者はもう少し複雑です)。

なお、「全休業」の月については休業日数を30日として計算します(暦日数ではありません)。

【労働基準法】役職手当は除外賃金か
2018/05/23
■ 割増算定基礎を計算・・・時間外見合いと取り扱う

【問】

「名ばかり管理職」と認定された場合、未払い残業代の清算が必要という記事を読みました。

その記事中に、「役職手当が時間外見合い分と認められれば、割増賃金の算定基礎から除かれる」という説明があります。

役職手当は除外賃金項目に該当しませんが、役職手当抜きで単価を算定して問題ないのでしょうか。

● 「通常の時間分」に含まず

【答】

下級管理職に昇職し役職手当が付加されたものの、時間外割増賃金等が支払われていなかったとします。

管理職性が否定されれば、時間外労働等に相当する割増賃金が未払いとみなされます。

割増賃金は、「通常の労働時間または労働日の賃金の計算額」に割増率を乗じて計算します(労基法37条1項)。

管理職には、毎月、基本給・役職手当・家族手当・通勤手当の4種の賃金項目が支給されていたとします。

割増賃金の基礎に算入しない賃金(除外賃金項目)は、労基法37条5項・労基則21条で列挙されています。

その中に家族手当と通勤手当は存在しますが、役職手当は含まれていません。

ですから、従業員サイドは、基本給・役職手当をベースとして割増賃金を計算し、その額が役職手当を超えている場合、その差額を請求するでしょう。

しかし、除外賃金項目については「制限的に列挙されているものであり、これらの手当に該当しない『通常の労働時間または労働日の賃金』はすべて算入しなければならない」と解されています(労基法コンメンタール)。

つまり、列挙されていない賃金項目でも「通常の労働時間・労働日の賃金」以外(時間外分)であれば除外可能という逆解釈となります。

そこで、経営側は基本給のみをベースとして割増賃金を計算するよう主張するでしょう。 時間外見合いの役職手当と固定残業代制の営業手当等は、名称は異なっても実態はよく似ています。

固定残業代制を採る場合、「何時間分の時間外割増賃金額相当の賃金」等と定めますが、この割増賃金の算定基礎には営業手当等(固定残業代相当)は含まれていません。

それと同様の考え方で、割増賃金の単価から時間外見合い分を除外することも可能です。

【労働基準法】年度中に年休増やすか?
2018/05/18
■ 「所定労働日数」が大幅増・・・前年稼働実績から比例付与

【問】

当社のパートは1ヵ月ごとの契約更新ですが、季節により所定労働日数に大幅な変動があります。

前年の出勤実績を考慮して、比例付与により年休を付与しています。

今回、通年作業を可能としたため、年休付与時に比べ出勤日数が相当程度に増えます。

「実績ベース」で付与した年休日数を、見直す必要があるでしょうか。

● 基準日以外の見直し不要

【答】

所定労働時間・日数が短いパート社員等の場合、年休の付与日数は「比例付与」により決定されます(労基法39条3項)。

対象となるのは、

@ 週所定労働日数が4日以下、または

A 年間の所定労働日数が216日以下の労働者(週30時間以上の労働者は除く)です。

付与日数は、週・年間の所定労働日数に応じて定められています(労基則24条の3)。

原則として週区分@が適用され、週以外で所定労働日数が定められている労働者についてのみ年区分Aが適用されます。

Aに該当する例としては、「月の前半だけ労働というように月単位で所定労働日数が定められている者、季節等によって所定労働日数が異なるなど年単位で所定労働日数が定められている者」が挙げられます。

どちらも週サイクルを超えて所定労働日数が変動します。

しかし、出勤がまったく不定期なわけではなく、年間の出勤カレンダーは事前に定まっています。

この事前スケジュールに基づき、付与日数が決まります。

ご質問のパート社員については、事前に「年間契約日数」の確定が困難な実態にあるようです。

こうしたケースに関し、訪問介護労働者に関してですが、「基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出することとして差し支えない」という解釈例規が示されています(平16.08.27基発0827001号)。

仮にこの解釈に従うとしても、「過去の労働日数の実績」を「1年間の所定労働日数とみなして」処理することになります。

年休付与時点の「(みなし)所定労働日数」により付与日数を定めれば、今後の出勤実績に変動があっても見直しは不要です。

年休の付与日数は、「年度の途中で所定労働日数(週3日から4日など)が変更されても、増減されるものでない」(労基法コンメンタール)からです。

【労働基準法】役職手当を割増分に?・・・グレーな管理職へ支給
2018/05/16
■ 法41条適用ない場合を想定

【問】

時間外割増等の適用外としていた管理職について、労基法で定める「管理監督者」に該当しないと判断されたとします。

未払いの残業代の清算が必要になりますが、役職手当として払った分を「時間外見合い」として差引き調整が可能でしょうか。

「役職手当の支給を受ける役職者には、割増賃金を支給しない」と規定していた場合、どうでしょうか。

● 長時間労働の合意無効も

【答】

労基法では、「監督もしくは管理の地位にある者」に対し、労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を除外しています(41条2号)。

しかし、下位の役職者について、「管理監督者」性を否定する裁判例等が少なくありません。 この場合、未払いの割増賃金の処理が実務的な問題となります。

役職手当を割増賃金に充当できるかに関しては、少なくとも「就業規則や当事者間で役職手当の全部・一部(何円分、何時間分)について、割増賃金相当分を含む旨の明示・黙示による合意等が必要」という見解が示されています(安西愈「労働時間・休日・休暇の法律実務」)。

こうした定め方は、賃金の定額払いと同様の性質を帯びます。

ですから、実労働時間に対応する割増賃金額が時間外見合い分を上回る場合には、清算が必要という理屈になります。

しかし、少なくとも、時間外見合い分については、「支払い済み」という主張が可能です。 さらに、役職手当が時間外見合い分と認められれば、その分の金額が割増賃金の算定基礎から除かれるというメリットも生じます。

真正の管理監督者(割増の支払い不要)であれば、「清算を前提」とする合意を行うのは「自己矛盾」です。

しかし、グレーな管理者について、予防策を講じる会社も散見されます。

「役職手当の支給を受ける…支給しない」という規定(時間外見合いの規定と併用)は、「割増適用外の管理職には、管理監督者以外も含まれる」という解釈の余地を広げておくものです。

最終的には実態判断ですが、判例(穂波事件、岐阜地判平27.10.22)では、長時間労働を強いる根拠となるような管理者手当の規定について、合意を無効と判示しています。

【健康保険法】公休日に資格取得?
2018/05/16
■ 4月2日から勤務開始

【問】

カレンダーをみると4月1日は日曜日(当社の公休日でした。

正社員に関して、1日入社の被保険者資格取得日は、就労を開始する2日にずれるのでしょうか。

● 契約初日の「1日」から

【答】

健保法35条や厚年法13条7は、適用事業所に使用されるに至った日から資格を取得するとしています。

使用される日とは、事実上の使用関係が発生した日とされています(昭03.11.17社保発751号)。

通常、雇用契約開始日は、勤務開始日と一致すると考えられますが、一致しない場合、報酬の支給開始を参考に事実上の使用関係が発生した日を決定します。

月給制の場合、「勤務開始前の期間の報酬が控除されるのであれば、労務の提供が開始され報酬支払いの対象期間の初日が、事実上の使用関係の発生日とするのが妥当」(年金機構疑義照会)としています。

控除しないのが通常でしょう。

時給や日給制は、公休日は、労務の提供がなく報酬の支払いがありません。

公休日でなければ雇用契約開始日が勤務開始日と一致すると想定され、事実上の使用関係の発生日は、雇用契約開始日となります。

【労災保険法】休日出勤は通災か
2018/05/16
■ 社内と社外で緊急対応

【問】

製品の出荷直前に不具合が発覚し、休日緊急に工場のシステムを改修し、合わせて遠方の港湾倉庫で検査を行うことになりました。

社員が社内と社外に分かれて対応することになりますが、仮に移動中事故が起こった場合、社内で対応する社員と社外で対応する社員との間で、業務災害か通勤災害かの違いが生じるのでしょうか。

● 緊急出勤は業務災害に

【答】

労災法7条に規定された業務災害は、負傷や疾病と業務との間に一定の因果関係があり、かつ労働者が使用者の指揮命令を受けて労務を提供している際に生じた災害であることが要件とされます。

一方で通勤災害は、労働者の業務の遂行に当たり住居と就業の場所との間を往復する際に生じた災害ですが、当該往復の途中であっても「業務の性質を有するものを除く」とされています。

出張等により社外の現場に直行する途中で災害が発生すると、業務の性質を有するとして業務災害になると考えられており、社外の倉庫に赴く社員は業務災害の扱いを受けるでしょう。

そうすると社内で対応する社員は通常の職場に向かうので通勤災害となりそうですが、突発的な事故等による予定外の緊急出勤は、やはり業務の性質を有するとして、業務災害になると解されています(昭48.11.22基発644号)。

【労働基準法】外国語の条件明示必要か
2018/05/15
■ 日本語能力ある者採用も

【問】

当社は製造業ですが、工場において外国人の募集・採用を検討しています。採用に当たってある程度の日本語能力が前提にはなるものの、外国語版の労働条件の明示や就業規則は必須でしょうか。

● 指針は書面で理解促す・・・4カ国語対応版あリ

【答】

外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平19.08.03厚労告276号)では、事業主は、外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付するよう求めています。

英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語版のモデル労働条件通知書は、東京外国人雇用サービスセンターのホームページにあります。

このほか、同指針では、安全衛生の確保に必要な措置等として下記のとおり定めているので、入社時には留意が必要です。

@ 安全衛生教育

当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うこと。特に、外国人労働者に使用させる機械設備、安全装置または保護具の使用方法等が確実に理解されるよう留意すること。

A 労働災害防止

労働災害防止のための指示等を理解することができるようにするため、必要な日本語および基本的な合図等を習得させるよう努めること。

事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示等について、図解等の方法を用いる等、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう努めること。

諸々の労働条件を定めた就業規則は、労働者に「周知」する必要があります(労基法106条)。

その方法として、労基則52条の2により、

@ 常時各作業場のみやすい場所へ掲示し、または備え付けること、

A 書面を労働者に交付すること、

B 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること、

としています。

労働契約法7条では、就業規則の効力に関して、上記3方法に限らず、実質的な周知を要件にしています(平24.08.10基発0810第2号)。

外国人と就業規則の周知(労基法106条)の関係に関して前掲指針では、「事業主は、労働基準法等関係法令の定めるところによりその内容について周知を行うこと。その際には、分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めること」としています。

厚生労働省では、「モデル就業規則」の英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語版を公開(2013年、2014年)しています。

【健康保険法】自社の保険証使えない?
2018/05/15
■ 休日アルバイトして負傷

【問】

従業員から、「ケガをしたので、休みを取りたい」と連絡がありました。

しかし、同僚の話によると、「休日には無許可でアルバイトを続けていて、その最中の事故ではないか」ということです。

本人は当社の従業員として、健康保険の資格を取得していますが、もちろん、アルバイト先では被保険者ではありません。

休業が長引いた場合、当社の被保険者証を使って、傷病手当金等を申請できるのでしょうか。

● 就労先の労災を適用する・・・社会保険加入は問わない

【答】

ご質問にある方は、貴社に所属する「労働者」です。

労災保険は、「業務上・通勤による労働者の傷病等」に対して保険給付を行います(労災法1条)。

ケガをしたのは貴社で就労中ではないので、貴社の労働保険番号を使って、労災保険の請求はできません。

しかし、だからといって、貴社の健康保険証を使えるという意味ではありません。

健康保険の対象となるのは、「業務災害(労災保険法7条1項1号に規定する業務災害をいう)以外の傷病等」に限られます(健保法1条)。

ケガは、アルバイト先で就労中に発生しています。

この方は2つの事業所に所属していますが、アルバイト先の就労時間は短いため、そちらで健康保険の加入要件は満たさないでしょう。

しかし、短時間の就労者でも、「労働者」である限りは労災保険の適用対象となります。

労災法でいう労働者とは、「労基法でいう労働者と同一のものをいう」と解されています(労災法コンメンタール)。

労基法では、労働者を「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義していて(9条)、労働時間に関する要件は設けられていません。

また、労災保険には、健康保険のように、個人を対象とした加入手続きもありません。

ですから、この方は、アルバイト先の労働保険番号を使って保険給付を請求します。

健康保険を使うことはできません。

【雇用保険法】臨時雇用で適用除外に?
2018/05/15
■ 業務完成すれば終了・・・被保険者の条件教えて

【問】

ある事業所から、質問を受けました。

臨時の必要から有期契約でパートを雇用する必要が生じましたが、予定業務が完成すれば雇用も終了するという話です。

こうした場合でも雇用保険に加入させる必要がありますか。

「季節的雇用」という理由で、適用除外という扱いにできないでしょうか。

● 季節の影響受けるか確認

【答】

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、原則として被保険者として加入手続きを採る必要があります。

しかし、雇保法6条では、適用除外となる労働者として6種類を列挙しています。

ご質問と関連しそうなのは、次の3種類です。

@ 1週間の所定労働時間が20時間未満の者

A 継続して31日以上雇用が見込まれない者

B 季節的に雇用される者で一定要件を満たす者

顧問先の予定業務が継続して31日以上の雇用を要するものであれば、Aの要件を満たしません。

週の所定労働時間20時間以上であれば、通常は雇用保険の被保険者となります。

そこで、「臨時的で一定期間内に業務終了を予定」ということから、Bの要件を適用できないかという点を検討してみましょう。

 「季節的に雇用される者」とは、「季節的業務に期間を定めて雇用される者または季節的に入離職する者」をいいます。

 「期間を定めない雇用であっても、季節の影響を受け、1年未満で離職することが明らかであれば」、条件を満たします(雇用保険取扱要領)。

ですから、顧問先の「臨時的な業務」が、季節の影響を強く受けるといい得るか否かがカギとなります。

季節雇用と認められても、一定要件を満たさなければ、短期雇用特例被保険者に分類され、雇用保険の加入が必須です。

短期雇用特例被保険者は、一般の被保険者と異なり、離職時には特例一時金の対象となります。

一時金は、基本手当日額の40日分(暫定措置)です(雇保法附則8条)。


季節雇用で、かつ次のいずれかの条件を満たせば、適用除外となります(雇保法38条)。

・ 4ヵ月以内の期間を定めて雇用

・ 1週間の所定労働時間が厚労大臣の定める時間数(30時間)未満(つまり、週20時間以上であっても加入の義務なし)。

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