【労働基準法】自然退職ではなく解雇
2018/01/10
■ 私傷病から復職メド立たず

【問】

私傷病で休職中の従業員がいますが、まもなく期間満了となります。

今も復職のメドが立たず、このままでは退職とせざるを得ません。

当社の就業規則をみると、「期間満了までに休職事由が消滅しないときは、解雇する」という文言となっています。

解雇ですから、期間満了の日前に予告を発しておくべきでしょうか。

● 期間満了日に実施を

【答】

私傷病で労働の提供ができない場合、最初に年休を消化し、次に欠勤状態となります。

しかし、正社員等を対象として、「私傷病休職」の規定を設ける会社が少なくありません。

欠勤が一定期間続いた後、「休職」が発令され、労働義務が免除されます。

会社が定める休職期間内に就労可能となれば復職となりますが、回復しなければ退職・解雇となります。

休職制度の趣旨は、一般に「解雇猶予である」といわれています。

貴社の就業規則では解雇と記載されているので、「自然退職」ではなく、解雇の手続きを要します。

「期間満了の30日前の予告」を検討されているとのことですが、厳密にいうと問題の余地なしといえません。

予告は、「いつ解雇されるのであるかが明確に認識できるように解雇の日を特定して」行うべきとされています(労基法コンメンタール)。

「条件付きの予告は、法20条の予告とは解しがたい」とされています。

一方で、解雇猶予の効力は期間満了日まで存続します。

傷病が回復すれば、復職を申し出る権利が保留されています。

それにもかかわらず、期間満了の30日前に「解雇処分を確定」するのは矛盾ともいえます。

解釈例規では、「『労働協約所定の期間を超えたとき』の労働契約の終了は労基法20条にいう解雇であり、同法所定の解雇予告をしなければならない」と解説しています(昭27.07.25基収1628号)。

予告の時期は、本来的には「所定期間を超えたとき」です。

休職期間が3ヵ月以上であれば、予告手当を払って即日解雇としても、「平均賃金はゼロではないか」という意見もあります。

しかし、休業期間が算定事由発生日以前3力月以上にわたる場合、「休職の最初の日をもって事由発生日とみなす」という扱いが示されています(昭24.04.11基発421号)。

【職業安定法】深夜込みで時給表示は
2018/01/10
■ 募集採用ルール教えて

【問】


当社では、24時間営業の店舗を経営しています。

アルバイトを採用する際、労働時間が深夜帯に及ぶときには、深夜割増賃金込みの時給を表示しています。

募集・採用のルールとして問題ないのでしょうか。

● 「割増部分」を明らかに

【答】

労働者の募集を行うに当たっては、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(職安法5条の3)。

賃金に関しては、賃金形態(時給等の区分)、基本給、定額的に支払われる手当などを明示します。

平成30年1月から、一定時間分の時間外労働、休日および深夜労働に対する割増賃金を定額で支払うとき、いわゆる固定残業代を導入している場合には、計算方法を明示する必要があります(平29.06.30厚生労働省告示232号)。

表示された基本給に深夜割増賃金をいくら含むのか、あるいは基本給を表示したうえで、別途深夜割増賃金が支給されることを明らかにしましょう。

法42条では、労働条件の明示に当たって、労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならないとしています。

【労働基準法】有期労働の解約不可?
2018/01/10
■ 期間途中に退職する意向

【問】

3年契約を更新して長年働いている優秀な契約社員がおり、今後無期労働契約への転換を希望した場合は応じるつもりでおりました。

ところが本人に海外移住の意向があり、近いうちに契約を打ち切りたい旨打診されています。

引き止めるのは難しいと思いますが、有期労働契約は原則途中解約できないそうなので、今回の契約で残っている期間中は当社で働いてもらうようにしても良いでしょうか。

● 労働者は1年経過で退職可

【答】

有期労働契約では、労契法18条に基づく「無期転換」が適用されるケースが生じますが、そもそも有期労働契約で定めることのできる期間は一定の場合を除き、3年が限度です (労基法14条)。

法の制定当時、使用者が労働者を不当に拘束することを防ぐ趣旨から、法定の期間を超える契約は、その超過した期間については無効となる強行規定とされました。

「無期転換ルール」は近年の社会情勢等に鑑み、労働者の雇用の安定を図るために新設された制度ですが、従来の有期労働契約でも解約できるのはやむを得ない事情がある場合で、当事者に過失があれば損害賠償責任も生じます(民法628条)。

ただし労働者側からは、原則として契約期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることでいつでも退職できることとされています(労基法附則137条)。

【厚生年金法】遺族年金は支給されるか
2018/01/10
■ 国年未納期間ある退職者

【問】

定年で退職された方から、遺族年金のことでお電話をいただきました。

在職中に病気で手術され、再雇用を選択せずに、完全リタイアされたという経緯があります。

最近、体調がすぐれず、「万が一」を考えて質問があったわけです。

この方は中途採用で、かなり国民年金の未納期間があるようですが、年金の受給に問題があるでしょうか。

● 退職前1年間納付が必要・・・初診日から5年以内なら

【答】

心配のタネを除くため、遺族基礎・厚生年金の受給要件を確認しておきましょう。

完全リタイアされているので、厚生年金の被保険者資格は喪失しています。

60歳を超えているので、国民年金の被保険者資格を取得する必要もありません。

厚年・国年ともに被保険者でありませんが、この点は問題になるでしょうか。

まず、遺族基礎年金ですが、支給要件の1つとして「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものの死亡」が挙げられています(国年法37条2号)。

次に、遺族厚生年金では、「被保険者であった者が、被保険者であった間に初診日のある傷病により初診日から5年を経過する前に死亡したとき」という項目があります(厚年法58条1項2号)。


対象となる家族がいて、上記の要件も満たすとして、保険料の納付要件もチェックする必要があります。

原則として、被保険者期間のうち「保険料納付済期間と免除期間の合算期間が3分の2以上」なければいけません。

つまり、滞納期間が3分の1以上だと問題が生じます。

しかし、「死亡月の前々月までの1年間に滞納がなければ」要件を満たしたとみなす経過措置(平成38年4月1日まで)があります(国年法昭60附則20条2項)。

被保険者でなくなった人については、「直近の被保険者期間に係る1年間」と読み替えます。ご質問者は国民年金の未納期間があるようですが、「退職前に1年間、厚生年金の被保険者期間(=保険料納付済期間)があれば」要件をクリアできます。

【労働基準法】労使協定締結する根拠は
2018/01/10
■ 賃金を口座振込みに

【問】

労使協定を締結した場合、誰でも閲覧できる状態にする必要があると思います。

わが社で過去に結んだ労使協定をチェックしていたら、賃金の銀行振込に関するものが出てきました。

労基法を調べたのですが、該当する条文がみつかりません。

何か根拠となる規定があるのでしょうか。

● 実務上は「指導」対象・・・本人同意が法的要件だが

【答】

労基法では、就業規則等と並んで、労使協定についても周知義務を課しています。

対象となる協定は、労基法106条1項に列挙されています。

@ 18条2項(強制貯金)

A 24条1項(賃金控除)

B 32条の2第1項(1ヵ月単位変形労働時間制)

C 32条の3(フレックスタイム制)

D 32条の4第2項(1年単位変形労働時間制)

E 32条の5第1項(1週間単位非定型的変形労働時間制)

F 34条2項ただし書(一斉休憩の適用除外)

G 36条1項(時間外・休日労働)

H 37条3項(代替休暇)

I 38条の2第1項(事業場外みなし)

H 38条の3第1項(専門業務型裁量労働制)

I 39条4項(時間単位年休)

I 39条6項(年休の計画的付与)

I 39条7項ただし書(年休賃金の支払)

このほか、企画業務型裁量労働制に関する「決議」も周知対象に含まれます。

お尋ねにある「賃金の銀行振込に関する協定」はこの中に含まれていません。

それでは、労使が任意に結んだ協定かといえば、そうではなく、解釈例規に根拠があります。

賃金は通貨払が原則(労基法24条1項)ですが、月例賃金に関しては銀行口座・証券総合口座への振込が認められています。

退職金については、そのほか小切手等による支払も可能です(労基則7条の2)。

この通貨払の例外は、「労働者の同意を得る」ことが法的な要件とされています。

「本人が預貯金口座を指定」すれば、同意を得たとみなされます(昭63.01.01基発1号)。

しかし、実務上は、労使が協定を結ぶよう指導が行われています(平10.09.10基発530号)。

労使協定では、以下の事項を定めます。

❶ 対象労働者の範囲

❷ 振込対象となる賃金の範囲・金額

❸ 振込の開始時期

協定で有効期限を定める必要はなく、古い日付の協定が今もそのまま効力を有しているという会社も多いはずです。

直接的には労基法106条の適用はありませんが、疑義が生じた際にはすぐに確認できるようにしておくべきでしょう。

【健康保険法】早産すると給付どうなる
2018/01/10
■ 産前期間中生じた手当金

【問】

出産手当金のことで、ちょっと確認したいことがあります。

出産が遅れると、その分、給付期間が延びるといいます。

その逆で、出産が早まった場合には、どうなるのでしょうか。

● 「現実の出産日」から逆算・・・報酬支払いある日は除外

【答】

出産手当金は、出産のため会社を休み、給料の支払を受けなかった場合に支給されます。

支給期間は、「出産の日(出産が予定日後であるときは、予定日)以前42日(多胎妊娠のときは98日)から出産の日後56日まで」です(健保法102条)。

産前給付分の基準となるのは、原則として「現実の出産日」です。

ただし、「出産が予定日後であるときは、予定日」が基準日となります。

ですから、出産日が遅くなったとしても、当初の予定日から遡って42日(98日)まで、出産手当金の請求ができます。

一方、産後給付分の基準となるのは、「現実の出産日」で例外はありません。

出産が予定日より遅れたときは、その現実の出産日から56日分の請求が可能です。

当初の予定日から現実の出産日までの間も、給付の対象となります。

出産が遅れるほど給付日数が増えるというのは、この部分を指します。

次に、ご質問にある出産が早まったケースについて検討しましょう。

この場合、産前給付分も産後給付分も「現実の出産日」を基準とします。

したがって、最大では、産前42日(98日)、産後56日の請求ができる理屈となります。

ただし、出産手当金は「会社を休み、給料の支払いを受けなかった」ことが要件となっています。

労基法では、「6週間(多胎妊娠のときは14週間)以内に出産する予定の女性」が産前休業を請求できると規定しています(65条)。

産前休業の請求は、「予定日」を基準とします。

産後休業は「産後8週間」を対象として、請求を要しません(強制付与)。

ですから、出産日が予定より遅くなったときは、出産予定より42日前から休み始め、予定日が過ぎても産前休業が続き、産後(現実の出産日基準)8週間まで産後休業が続きます。

ところが、出産日が予定より早まったときは、休業開始から出産日までの期間が42日(98日)より短くなります。

出産時期が前倒しになったからといって、後から産前休業の開始時期を変更することはできないからです(既に出勤した分は取り消せない)。

産後8週間は変わりません。

出産予定日より前に出産したときは、法文上は42日(98日)分の出産手当金の請求が可能ですが、産前休業(給与を受けない期間)が短くなれば、その分、出産手当金を請求できる日数も少なくなります。

【労働基準法】賞与年4回の影響は?
2018/01/09
■ 社会保険だと報酬扱い・・・労基法では「賃金」か

【問】

労基法でいう賞与の定義について疑問があります。

社会保険の世界では、「賞与を年4回払うと報酬になってしまう」といいます。

労基法でも、同様に「年4回」等の解釈が適用されるのでしょうか。

仮に「賞与でない」と判定された場合、実務的にどのような影響があるのでしょうか。

● 割増は1ケ月超え除外に

【答】

健保法では賞与とは「いかなる名称であるかを問わず、労働の対償として受けるもののうち3ヵ月を超える期間ごとに受けるものをいう」と定義されています(健保法3条6項)。

反対解釈として、年4回以上支払うと報酬に当たると判断されます。

会社が賞与と呼ぶのは勝手ですが、社会保険料の計算上は「標準報酬月額の算定ベース」として取り扱われます。

一方、労基法では「定期または臨時に、労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、支給額が予め確定されていないもの」を指すと解されています。

ただし、定期に支給され、支給額が確定しているものは、対象から除かれます(昭22.09.13発基17号)。

この定義では、賞与が支払われるスパンに関しては触れていません。

賞与であるか否かが問題となるのは、次の場合です。

@ 平均賃金の計算

A 毎月払いの原則

B 割増賃金の除外賃金

まず平均賃金を計算する際には、「臨時に支払われた賃金、3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金等」を除外します。(労基法12条4項)。

「3ヵ月を超える賃金」の代表例として、年2期の賞与等が挙げられます。

会社が賞与という名称で支払っていても、3月ごとの支払い等であれば除外の対象となりません。

次に、毎月払いの規定は、「臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもの」には適用されません。

準ずるものの例として、「1ケ月を超える期間に対して支給する精勤手当・勤続手当・能率手当」等が挙げられています(労基則8条)。

ですから、1ケ月を超える期間を対象として支払っていれば、3月以内の「賞与(社内名称)」でも毎月払いの原則から外れます。

割増賃金の算定基礎を計算する際、「1ケ月超の期間ごとに支払われる賃金」は除外されます(労基則21条)。

「賞与」も「1ケ月を超える賃金」に含まれるという解釈です。

【労働基準法】1ヶ月変形で割増賃金単価は?
2017/12/29
■ 法定労働時間が基礎?・・・1ヵ月平均をどう算出

【問】

当社では、1ヵ月単位変形労働時間制の採用を検討しています。

割増賃金の単価ですが、1年単位は単純です。

1年の法定労働時間の総枠が2,085時間(端数切捨て)なので、月給を2,085時間の12分の1で割ると理解しています。

1ヵ月単位変形制も同様でしょうか。

あるいは、特別な計算方法があるのでしょうか。

● 所定時間積算して「等分」

【答】

割増賃金の算定基礎の計算方法は、労基則19条で規定されています。

月極めの賃金については、「その金額を月の所定労働時間(1年平均)で除した額」を用います。

法定労働時間ではなく、それぞれの会社で定めた「所定労働時間」を算定ベースとして用います。

年間の法定労働時間の総枠は、365日×40時間÷7日日=2,085.71時間です。

しかし、たとえば、1日の所定労働時間を8時間で固定している会社は、8時間×260日=2,080時間が限度となります。

2,080時間を超え、2,085時間(以下、端数略)までは「法内残業」となるので、25%の割増を付けるか否かは会社の定め次第です。

しかし、2,085時間超について割増を支払う規定であっても、割増賃金の算定基礎は「月給÷(2,080時間÷12)」で計算します。

1ヵ月単位変形制でも考え方は同じですが、1ヵ月単位の場合、月をまたいだ労働時間の貸し借りができません。

こちらも1日「8時間固定」とすると、各月の総枠は下記のとおりです。

30日の月・・・8時間×21日=168時間(法定は最大171時間)

31日の月・・・8時間×22日=176時間(同177時間)

28日の月・・・8時間×20日=160時間

うるう年以外であれば2,064時間がマックスで、割増賃金の単価は「月給÷(2,064時間÷12)」で算定します。

もちろん、1日の所定労働時間を分単位で調整すれば、各月の所定・法定労働時間の差を限りなく小さくできます。

しかし、現実には、12の月すべてで両者の差(前出の例で、「法内残業」に当たる部分)を最小化している会社は少数派でしょう。

各月の所定労働時間を積算し、正確に割増単価を計算しないと、法定額を下回るおそれがあるので注意が必要です。

【健康保険法】兼業等の保険料いくら
2017/12/29
■ 一方が「4分の3」未満

【問】

当社でパートを採用する際、他社でも兼業・副業している例が増えてきました。

当社(500人以下)で健康保険等の被保険者資格を取得することがなければ、報酬が保険料等に反映されるようなこともないのでしょうか。

● 2事業勤務に該当せず

【答】

健康保険等の被保険者資格取得要件を満たすか否かについては、各事業所単位で判断を行います。

2事業所を合算して4分の3要件等を満たしても、加入の必要はありません。

厚労省Q&A集では、「同時に2ヵ所以上の事業所で被保険者資格の取得要件を満たした場合」、いずれか1つの事業所を選択し、「被保険者所属選択・2以上事業所勤務届」(健保則1条、厚年則1条)を提出する必要があるとしています。

常時501人以上の1または2以上の適用事業所等は、被保険者の範囲が週の所定労働時間20時間以上に拡大されたことにより(法附則46条)、2社で加入するケースは可能性としては広がったということになりますが、
一方の事業所で、被保険者資格の取得要件を満たさなければ、選択届の必要等はなく報酬も合算されません。

【育児介護法】休業延長以外に変更は
2017/12/29
■ 平成29年10月施行の改正法

【問】

平成29年10月から育児休業を取得できる期間が延長されましたが、他にも法律の改正があったと聞きます。

どのような内容なのでしょうか。

● 努力義務の規定を新設

【答】

今般の育介法の改正は、子が最長2歳になるまで育児休業の延長ができる措置以外に2つあり、いずれも「努力義務」です。

1つは「育児目的休暇」の新設で、たとえば幼稚園・保育園の行事など、広く「育児」を目的として休暇が利用できる制度です(育介法24条1項)。

既に子が病気や怪我をした時に取得できる「子の看護休暇」はありますが、特に父親である男性労働者の休業・休暇の取得状況が伸びておらず、男性の育児参加を促す目的もあります。

もう1つは、育児や介護の必要が生じた労働者に対し、休業や休暇の制度を「個別に」通知するというものです(同法21条I項)。

労働者を対象とした調査で、職場の雰囲気から休業を取得しづらく断念したという回答があったことから、事業主から積極的に制度の周知を図り、労働者に取得を勧奨するよう求めています。

これらの「努力義務」には、事業規模等の要件はありません。

前者の休暇制度は人手の少ない事業場では十分検討して導入する必要がありそうですが、後者の周知徹底はむしろ小規模事業場のほうが定着しやすいとも思われます。

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