【健康保険法】飲食店で社会保険加入に?
2017/09/14
■ 10人前後の小規模店舗

【問】

飲食店舗でパート勤務(フルタイム)します。

仕事は、弁当・総菜等の販売員です。

以前、同様の業務で他店舗に勤務した際には社会保険に加入しましたが、今回は「国民健康保険のままでよい」といわれました。

10人前後が入れ替わりで働く店舗ですが、大丈夫なのでしょか。

● 「個人事業」なら非適用・・・主たる事業で判断する

【答】

事業所が健康保険に加入するか否かを決めるファクターは、事業の態様(法人・個人経営の別)、事業の種類、従業員数の3つです。

法人であれば、従業員(使用される人)が1人でもいれば、強制加入です。

個人事業所の場合、強制適用の事業であれば、5人以上で加入義務が生じます。

非適用事業であれば、5人以上でも加入の必要なしです。

お尋ねの店舗ですが、飲食店を経営する一方で、弁当・総菜を製造・販売するスタイルを採っています。

製造や商業(物の販売)の事業は、強制適用の対象です。

これに対して、飲食・料理業は非適用となっています。

「料理店・飲食店等は物の販売のみが目的ではなく、場所の提供、サービス等も含んでおり、社会通念上も販売業とは区別されている」から、強制適用事業所とはなりません(昭18.04.05保発905号)。

1つの事業所で異種の事業が併存的に行われる場合で、「1つの事業が他の事業に従属附帯するときは、主なる事業と一体的にその適用を決定」します(昭25.11.30保文発3082号)。

店舗が法人でなく、個人経営である場合、2とおりのケースが考えられます。

「主なる事業」が販売であれば、従業員が5人以上である場合に限り、健保に加入する義務が生じます。

「主なる事業」が飲食店であれば、規模に関係なく非適用事業所という扱いになります。かなりの人数が働く店舗で、販売業務専門で働いていても、健保の被保険者にはなりません。

【交通事故処理】示談後に後遺症でたら?
2017/09/14
■ 損害賠償を放棄する文言


【問】

交差点で信号待ちをしている際に、自動車に追突され、怪我を負いました。

その後怪我も治り、加害者と示談をしましたが、数力月前から、事故の後遺症と思われる症状が出てきました。

示談書では、示談金以外の請求は放棄する旨が記載されており、また、事故から3年を経過しています。

もう今となっては後遺症についての請求はできないのでしょうか。

● 発症時期と因果関係みて・・・「予想外」として請求も

【答】

過去の交通事故が原因で「予想外」の後遺症が出た場合は、示談後でも請求が可能です。また、消滅時効期間は、後遺症の発現を知ってから3年です。

示談とは、通常の場合、加害者が被害者に対し示談金として一定額の損害賠償をすることを約束して、被害者はそれ以上の賠償を求めないことを約束する和解契約を意味します。そのような内容で和解契約を成立させた以上は、実際に生じた損害が示談金の額を超えていたことが明らかになったからといって、被害者が追加して新たな請求をすることはできないというのが原則です。

そのために、示談書には、示談書に記載されたもの以外の請求権を放棄する旨の記載(権利放棄条項)がなされるのが通常です。

しかし、上記のような示談が成立した後であっても、その後に予想外の後遺症が出た場合には、当該後遺症について損害賠償を請求することは可能です。

示談あるいは権利放棄条項の効力が及ぶのは、示談を行った当時に予想された損害についてのみです。

これは、被害者は示談当時に予想できなかった損害に関する賠償請求権まで放棄してはおらず、また示談においては、権利放棄条項の有無にかかわらず、示談当時に予想できなかった損害についての賠償請求権は依然として留保されていると解されるためです。

したがって、示談をした際にすでに後遺症が出ていた場合などでは、その損害も含めて示談したと解されるため、新たな請求ができないことになりますが、予想外の後遺症が後に現れた場合の請求まで封じられているものではありません。

また、不法行為による損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年で時効消滅しますが、後遺症の損害賠償請求権は後遺症の発現を知ってから3年となりますので、質問者の方の場合も時効にかかっていないことになります。

もっとも、後遺症についての損害賠償は、行為と当該損害の因果関係が必要になりますので、質問者の方の請求が最終的に認められるかは分かりませんが、少なくとも、過去に結んだ示談書の権利放棄条項や時効によって請求権が消滅しているとはいえないと思われます。

【労働基準法】懲戒解雇には認定必須か
2017/09/14
■ 「お墨付き」と理解?

【問】

当社で、懲戒解雇を検討すべき事案が発生しました。

月半ばに開催する懲罰委員会で審議して処分決定、月末付けでの処分を予定しています。懲戒解雇に当たって、労基署の認定を受けておくべきという意見がありました。

認定申請をしたときには、判断がなされるまで解雇できないのでしょうか。

● 30日前予告が不要に・・・処分有効かは別問題

【答】

解雇には、普通解雇や懲戒解雇のほか、懲戒解雇を若干軽減したものとして、諭旨解雇などがあります。

また、退職願等の提出を勧告し、即時退職を求める「諭旨退職」に応じない場合に、懲戒解雇するといった取扱いもあります。

労基法では、これら区別することなく、解雇に関する規定が適用されることになります。すなわち、解雇制限(19条)や、解雇予告義務(20条)の規定です。

法20条では、解雇しようとする場合に、少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告をしない使用者は、解雇予告手当を支払わなければならないとしています。

予告と手当を併用する形(同条2項)も認められています。

この予告ですが、「労働者の責に帰すべき事由」に基づいて解雇する場合には、この限りではない(予告不要)としています。

この場合、行政官庁(労基署長)の認定を受けなければなりません(同条3項)。

つまり、認定を受けることによって、予告期間30日を待たずそして手当も支払わず、即時解雇ができるということになります。

なお、解雇が、権利濫用(労働契約法16条)に当たるかどうかと、労基法に基づく予告手続きの履行とは直接関係がないということになります。

懲戒処分決定後に、予告をせずに即時解雇しても、「行政官庁による事実の確認手続きにすぎず、行政官庁の認定を受けないでなされた即時解雇が認定を受けなかったことのゆえに無効となるものではない」(菅野和夫「労働法」、事例として上野労基署長(出雲商会)事件、東京地判平14.01.3131)とされています。

労働者の責に帰すべき事由(昭23.11.11基発1637号)かどうかは、従業員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、次のような基準に照らし使用者、従業員の双方から直接事情等を聞いて認定するかどうかを判断するとされています。

さて、予告や手当金を支払わず即時解雇するとして、認定申請をする場合ですが、認定がなされるまで解雇できないのでしょうか。

通達(昭63.03.14基発150号)では、認定処分が出るまでに解雇をしても、その後認定が出たときは、その処分は申請のときにさかのぼって効力を発生する、としています。

したがって、解雇自体の扱いは可能です。

【労働基準法】平均賃金に怪我当日含むか
2017/09/07
■ 賃金締切日と同日・・・残業入った後の事故

【問】

機械が故障し、復旧作業を行っていたところ、従業員が怪我をしてしまいました。

既に残業に入った後の事故ですが、当日が「賃金締切日」に当たります。

怪我をした翌日に休んだため、労基法に基づく休業補償を行います。

平均賃金を算定する際、怪我の当日を含む3ヵ月間を対象とするのが正しいのでしょうか。  

● 1月前から遡り算定

【答】

業務上の怪我で就労できない場合、最初の3日間(労災保険の待期期間)は、事業主が休業補償を行います(労基法76条)。

金額は、平均賃金の6割です。

休業補償のベースとなる平均賃金は、「算定事由発生日以前3ヵ月間に支払われた賃金総額を、総日数(暦日数)で除して」算定します(労基法12条1項)。

「以前3ヵ月」という場合、「事由の発生した日の前日から遡る3ヵ月であって、事由発生日は含まれない」と解されています(労基法コンメンタール)。

ただし、「賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算」するルールです(同条2項)。

お尋ねのケースでは、賃金締切日の残業時間中(終業時刻後)に事故が発生しています。

この場合、待期期間の初日がいつになるかですが、解釈例規では「残業時間の一部を休業した場合でも休業日数の計算に算入するか」という問いに対し、「所定労働時間の一部休業の場合のみ負傷当日を算入する」という回答が示されています(昭27.08.08基収3208号)。

ですから、労基法に基づく休業補償の開始日も、事故発生の翌日からになります。

「事由の発生した日」がいつになるかで、平均賃金の算定対象となる3ヵ月の範囲も異なってきます。

起算日は、平均賃金を算定すべき事由別に定められています。

たとえば、休業手当は「休業に入った日(2日以上は最初の日)」ですが、休業補償は「死傷の原因たる事故発生の日または診断によって疾病の発生が確定した日」(労基則48条)です。

本人が休業に入り、休業補償を受ける初日は、事故の起きた翌日(賃金締切日の翌日)です。

しかし、休業補償の事由発生日は怪我をした日(賃金締切日)とされているので、その前日からみて直前の賃金締切日から3ヵ月を用いて平均賃金を算定します。

【健康保険法】退職後の傷病手当金は?
2017/09/01
■ 再就職から1年未満

【問】

中途入社した従業員が、私傷病で欠勤がちです。

傷病手当金を請求したとして、このまま退職したときにはその後も継続して受給できるのでしょうか。

前職を離職後は、任意継続の期間中も含めて引き続き1年以上被保険者であったとすればどうでしょうか。

● 任継や国保期間含まず

【答】

傷病手当金の支給期間は、同一の傷病等に関して、その支給を始めた日から起算して1年6ヵ月が限度となっています(健保法99条)。

労務に服することができない期間支給されますが、就業規則に休職規定があっても、転職間もなければ在職期間に照らして適用がないことも考えられます。

退職後も継続して受給するためには2つの要件を満たす必要があります(健保法104条)。ひとつは、退職時に傷病手当金の支給を受けていることです。

労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過していれば足りると解されています。

2つ目が、1年以上被保険者であることです。

ここには任意継続被保険者は含まれません(同条)。

また、法106条に関する解釈ですが、「健保法の規定による被保険者であった者」が前提とされています(平23.06.03保保発603002号)。

【労働基準法】報道の表現と相違?
2017/09/01
■ 法令でいう「裁量労働」

【問】

テレビや新聞で、大手自動車メーカーが残業時間にかかわらず一定額を支給する方針を打ち出し、「裁量労働を拡大する」と報じられて物議をかもしたことがありました。

「本当は裁量労働とは異なり、誤報である」ともいわれているようですが、実際にはどのように定義されているのが「裁量労働」なのか、あらためて確認したいと考えています。

● 労働者に時間配分する裁量

【答】

法令上の「裁量労働」は、労働者が自ら時間を配分して就労するほうが理にかなった一定の業務に限り、日々の労働時間の長短にかかわらず毎日一定時間労働したものとみなす制度で、労基法38条の3および38条の4に規定があります。

仮に労働時間を1日8時間とみなすと、10時間あるいは6時間労働しても「8時間労働」となるので、たとえば1日の平均労働時間が8時間以内に収まるよう日々の業務を調整する等の「裁量」を労働者が有する、ということを意味します。

労働時間が一定になるので簡便な賃金支払いができると認識されがちですが、制度趣旨の理解としては適切ではありません(荒木尚志「労働法」)。

報道された制度は裁量労働ではなく、いわぱ「固定残業代」の導入ですが、合わせて在宅ワークなど働き方の自由化を盛り込んでいたため「裁量」と表現したと思われます。

【労働基準法】4週変形制の割増賃金は?
2017/09/01
■ 賃金計算期間と合わない・・・1年「13サイクル」に

【問】

変形労働時間制を採る場合、清算期間を「4週間単位」にすると、時間外割増等の計算が簡便化されるという記事をみました。

しかし、賃金の締切は1ヵ月―回ですから、そちらとの整合性が問題になります。

4週間単位の変形制を運用する際、月をまたがって発生した割増賃金は、どのように支払うべきなのでしょうか。

● 直後の支払日で清算

【答】

一ヶ月単位変形労働時間制(労基法32条の2)は、「1ヵ月以内の期間」で変形期間を設定します。

ですから、4週間単位も勿論可能です。

休日との関係では、1週1日ではなく「4週4日の変形休日制」が認められているため(労基法35条2項)、両者の併用は有力な選択肢です。

しかし、変形期間が1ヵ月に満たないため、ご質問にあるとおり、賃金計算面で齟齬が生じます。

365日を4週間(28日)で除すと、13.035・・・ですから、1年の中に約13回のサイクルが含まれることになります。

「月をまたぐ割増賃金」は、通常の労働時間制にもつきまとう問題です。

月の最終日が金曜の月を、例に取り上げましょう。

金曜日の業務終了の時点で急ぎの仕事が残っていたため、土曜日に出勤させたとします。

2つの月にまたがる「週単位(日曜から土曜)」でみれば、労働時間の累積は48時間(8時間×6日)ですから、法定労働時間枠40時間を超えた8時間が時間外となります。

これは、すべて「後の月」の時間外として処理し、割増賃金が支払われます。

考え方は、「時間外労働として確定した時点」が、どの月に属するかに基づいて判断するというものです。

1年単位変形制についてですが、「変形期間を通じた法定労働時間の総枠を超える労働時間に係る割増賃金については、一般的に変形期間終了時点で初めて確定するものであり、変形期間終了直後の賃金支払期日に支払えば足りる」という解釈例規が存在します(平06.05.31基発330号)。

4週変形制を採るときも、1日・1週・4週単位の3回に分けて時間外労働等の発生の有無をチェックします。

1年に1回は「4週単位の締め」が同一月内に2回ある月が発生しますが、当月支払いで問題ありません。

【労働基準法】36協定の見直しか
2017/09/01
■ 一部「外部労組」に加入・・・過半数代表者が抜ける形

【問】

時間外・休日労働(36協定を締結する際、自ら立候補して過半数代表となった従業員がいます。

このほど、本人から「外部の労働組合に加入したので、前回の協定を破棄し、労働組合と締結し直してほしい」と申し入れがありました。

相当数の従業員が同調しているとみられますが、再締結等の手続きが必要になりますか。

● 効力続き破棄必要なし

【答】

労基法等で、労使協定の締結を条件として、法規制を一部緩和する規定を設けています。ご質問にある36協定や、賃金控除に関する協定などが代表例です。

労働者側の当事者は、「過半数労組があるときはその労組、ないときは過半数代表者」と規定されています。

使用者の選択ではなく、過半数労組があればそちらが優先します。

ここでいう労働組合とは、労組法2条で定める「自主性」の要件を満たすものに限られます。

事業場単位で支部分会等が結成されていない場合も、「事業場の過半数が加入している労組がある場合、その労組と協定を締結すべき」(昭36.09.07基収4932号)とされています。

「相当数の同調者」がいるとのことですが、まず人数の確認が必要となります。

小規模企業(事業場)であれば、過半数を占めるケースもあり得るでしょう。

労組法に基づく団体交渉に関してですが、「使用者が組合員の人数等をほぼ把握しつつも名簿の不提出を口実として交渉を拒否することは不当労働行為(労組法7条2号)となるが、そのような場合でなければ、労組は、組合員の人数・氏名等を必要な限りで明らかにすることを要する」とされています(菅野和央「労働法」)。

過半数を占めている場合、当然、次回の労使協定の締結時から、その労組が労働者側の当事者となります。

しかし、既存の協定(過半数代表者と締結)の効力は、その有効期間中は継続します。

本件の質問とは逆のケースですが、労組が過半数割れし当事者としての要件を満たさなくなった場合であっても、「協定締結当時において労働者の過半数の団体意思が反映されていればそれだけで法の趣旨は充足される」と解されています(労基法コンメンタール)。
現協定を破棄する必要はありません。

【育児介護法】職場復帰の給付は?
2017/09/01
■ 育休前倒しを求めたい

【問】

2歳までの育休延長へ向け規定整備を進めています。

職場復帰の給付があったはずですが、早期復帰を求める材料になるのでしょうか。

マタハラも心配です。

● 休業期間中のみに統合

【答】

育児休業中は、育児休業給付金が支給されます(雇保法61条の4)。

額は(休業開始時)賃金日額の67%です(休業開始から180日まで、法附則12条)。

以後、50%となります。

職場復帰給付金は、平成21年改正により廃止されましたが、以前は基本給付金と合わせて、50%支給されていました。

現在、休業期間中の給付に一本化されています。

復職で何か給付を受けられるわけではありません。

10月からの法改正では、子が1歳6ヵ月から2歳まで育休が自動的に延長されるわけではなく、1歳から1歳6ヵ月までの延長事由がそのまま準用される形です(育介則6条の2)。

改めて申出が必要になります(育介法5条4項)。

早期復職の要望とマタハラの関係ですが、本人に対し、育休の申出や利用を阻害するような言動は慎むべきでしょう(育介法25条)。

ただし、「労働者の事情やキャリアを考慮して、早期の職場復帰を促すことは制度等の利用が阻害されるものに該当しない」とされました(両立指針)。

【パート労働法】日雇にも適用すべき?
2017/09/01
■ 労働時間多いアルバイト

【問】

飲食店のホールスタッフや仕出しのデリバリーに役者や芸人をめざす若者が数名います。しばしば稽古やオーディションがあるため日雇いのアルバイトとしていますが、勤務態度は良好です。

忙しい時には積極的に手伝ってくれて、パートより勤務時間が多くなる月もありますが、パートの法令を適用しなくても大丈夫でしょうか。

● 週所定の時間定まれば該当

【答】

パートタイム労働法の保護対象であるパート(いわゆる「短時間労働者」)とは、1週間の所定労働時間が、同一の事業所における通常の労働者(原則として同種の業務に従事している者)と比較して短い労働者と定義されており(同法2条)、1分でも所定労働時間が短ければ該当するとされています(平26.07.24基発0724第2号)。

日雇労働者は就業日がまちまちで、「1週間の所定労働時間」が算出できない限り、パートタイム労働法の対象にはなりません。

ただ、当該日雇労働者が明示的または黙示的に引き続き使用され、少なくとも1週間以上にわたる定型化した就業パターンが確立すれば、同法の対象になります。

仮に適用対象になった場合は、正社員との均衡待遇確保の努力義務や、相談窓口の設置など体制の整備の義務が、使用者に課されることになります。

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