【労働基準法】社長の息子に減給制限なし?
2019/02/21
■ 後継者候補がパワハラ・・・役員相当の罰金科したい

【問】

将来的な後継者候補として入社し部長職についた社長の息子さんが、早く成果を出したいという焦りからか、パワハラ事件を起こしてしまいました。

会議の結果、減給処分が妥当という結論に達しましたが、その金額が問題となっています。激怒した現社長は「親族なんだから、労基法の制限は受けないはず。役員相当の減給を科すべき」と主張します。

そういう解釈が成り立つのでしょうか。

● 同居でも「労働者性」注意

【答】

まず、減給に関する制限から確認しましょう。

減給は、「1回の額が平均賃金の1日の半分を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と定められています(労基法91条)。

労基法の対象である労働者であれば、この範囲内でのみ減給が可能となります。

金額に不満な社長さんは、そこで「息子は親族だから」という論拠を持ち出して、社内的に「示しをつけたい」とお考えのようです。

確かに、労基法では「同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人には適用しない」と規定しています(労基法116条2項)。

しかし、だからといって社長さんの主張が正しいとも限りません。

「同居の親族」であることが要件とされているので、息子さんが独立して一家を構えていれば、そもそも本条の対象になりません。

同居とは、「世帯たる実態があるか否か、すなわち居住および生計を一にしているか否か」で判断されます。

同居している場合ですが、条文上は「同居の親族のみ」を使用する事業が適用除外になると読めます。

貴社では、質問者も含め親族以外も雇用されているようです。

こうしたケースでも、同居の親族自体は「原則として本法の労働者でない」(労基法の適用はない)と解されます(労基法コンメンタール)が、例外的に次の条件を満たすときは労働者として取り扱われます(昭54.04.02基発153号)。

@ 業務を行うにつき、事業者の指揮命令に従っていることが明白である

A 労働時間、賃金の決定・支払等についても、就業規則等の定めるところにより、他の労働者と同様に管理されている

ご質問の例も、以上の判断基準に従って、116条2項の適用があるか否か、慎重に判断する必要があります。

【健康保険法】30万円で保険料計算か
2019/02/21
■ 任意継続の標準報酬月額

【問】

任意継続被保険者の標準報酬月額の上限が、4月に28万円から30万円に引き上げられるといいます。

4月より前に退職して、28万円の上限が適用されているとき、保険料にも影響が及ぶのでしょうか。

● 4月以降負担増も

【答】

保険料は、標準報酬月額等に保険料率を乗じて算出します。

任継の標準報酬月額は、退職して被保険者資格を喪失したときの標準報酬月額と、前年9月30日の全被保険者の同月の標準報酬月額の平均(28万円)を比べて、少ない額を用います(健保法47条)。

退職時の報酬がたとえば50万円でも、28万円で計算されます。

任継の保険料が変動するケースとして、任継加入中に介護保険第2号被保険者に該当もしくは該当しなくなった場合、都道府県別の保険料率等が変更された場合、保険料率の異なる都道府県へ転出した場合があります。

さらに、平均標準報酬が改定される際に、全任意継続被保険者について見直しを行い必要に応じ改定(昭51.06.05保発29号)するとしています。

都道府県料率等の変更は考えずに、現在の東京都における28万円と30万円の保険料を比べると、月1,980円(介護保険料込みは、月2,294円)の差があります。

【雇用保険法】追加給付となるのは
2019/02/21
■ 毎月勤労統計に不備

【問】

政府の統計にミスがあり、雇用保険等の追加給付が話題になっていますが、どの給付が対象なのでしょうか。

● 基本手当等や一部の助成金

【答】

長年にわたって調査方法に不備があったことがこの度指摘されたのが「毎月勤労統計調査」ですが、この調査によるデータを基に年代別の「平均給与額」を算出し、基本手当等の支給額の算定等に使われています。

基本手当は、離職者本人に支払われた6ヵ月分の賃金の総額を180で除した「賃金日額」を基に金額を算定します(雇保法16条、17条)。

この額は毎月勤労統計調査の金額とは直接関連しませんが、この額の多寡によって区分がされており、賃金日額から一定割合で減額した基本手当の額を算出する際に、当該調査から出された数値を用いる場合があります。

年齢階層によっても算出の式が異なり、最低限度額・最高限度額も設定されていますが、ここでも調査の数値が参酌されています。

それらのデータが不適切だった結果、給付額が少なくなった人に対して追加給付の必要が生じてきたわけです。

毎月勤労統計調査の影響で追加支給が生じている可能性があるのは、雇用保険では他に再就職手当や育児・介護の休業給付等で、一定期間内に事業主に支給された雇用調整助成金も一部対象になっています。

【厚生年金法】未納分を補填できるか
2019/02/20
■ 基礎年金満額にならず

【問】

大学院の修士課程を終えて就職したので、20歳から24歳まで年金の保険料を納付していない期間がありました。

既に10年以上勤続期間があるのでこのまま定年まで勤めれば年金自体は受け取れると思いますが、20歳代に保険料の未納期間がある分、年金の額が少なくなるのではないかと言われました。

この分はカバーできないのでしょうか。

● 65歳以降に経過的加算

【答】

老齢厚生年金は、適用事業所に雇用され被保険者となっている期間が年齢に関係なく金額に反映されます。

これに対して国年の老齢基礎年金は、原則として満20歳から60歳までの480月間(40年間)が被保険者期間となり(国年法8条、9条)、60歳を超えて雇用されても当該超えた期間は対象になりません。

480月の保険料納付期間があれば満額となりますが、20歳から24歳で就職するまで保険料の納付がないと、当該期間に応じて減額されてしまいます。

そのため当分の間、厚生年金から「経過的加算」が支給されます(厚年法昭60附則59条2項)。

60歳以降も勤続すれば、国年の被保険者期間がその分長くなったと仮定した場合に得られる老齢基礎年金額との差額にほぼ相当する額を、65歳からの老齢厚生年金に加算するものです。

ただし、期間は通算して480月が上限となります。

【均等法】トイレ共用セクハラか
2019/02/20
■ 女性から設置要求

【問】

当社の営業所で建物が古いこともあり、トイレはやむを得ず男女共用です。

このたび、女性従業員からこれはセクハラであると指摘を受けました。

セクハラという認識はないのですが、どうなのでしょうか。

● 安衛法上で問題も

【答】

セクハラの判断基準は、職場において行われる性的な言動があるかどうか、ということになります(均等法11条)。

事業主は、こうした言動に適切に対応するために必要な体制の整備その他雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

女性の訴えは、「トイレの中等で男性と鉢合わせになるのは決まりが悪い」といった趣旨でしよう。

セクハラには対価型と環境型の2類型があります(セクハラ指針)。

たとえばトイレの設置を求めたことに対して、あるいは鉢合わせ等の際に性的な言動が行われたかどうかを検討する必要があるでしょう。

セクハラ以前の問題として、安全衛生の面で問題が生じています。

安衛則628条では、男性用・女性用に区別したうえで、女性用便器は、女性労働者20人以内に1個以上とすることを求めています。

他フロアの利用なども検討してみてください。

【労働基準法】妊産婦に残業どこまで?
2019/02/20
■ 業務軽減の希望あるが・・・本人のみ対応可能な業務で

【問】

ベテラン女性社員が、第1子を妊娠中です。

管理職ではありませんが、現在、重要案件を担当しています。

高齢出産の部類に属し、本人は業務軽減を希望している様子です。

本人しか対応できないプレゼンテーション等が発生した場合、どこまで時間外等の対応を要請できるのでしょうか。

● 同意あれば一部免除も可

【答】

出産前の時期から、順に確認していきましょう。

妊産婦(妊娠中または産後1年を経過しない女性)を対象とする時間外・休日労働の制限は、本人の請求が前提です(労基法66条)。

「時間外・休日労働のみの請求、深夜業についてのみのもの、それぞれについての部分的なものも認められる」とされています(昭61.03.20基発151号)。

ですから、本人が「原則として時間外・休日労働の免除」を求めていても、本人の同意に基づき「代替困難な業務(重要会議への出席等)」に限って、時間外等の制限を請求しないという形を採ることは可能です。

ただし、「身体状況の変化に伴い、請求内容の変更があった」ときは、それに応じる義務があります。

このほか、均等法でも妊産好に対する配慮を定めています。

事業主は、時間外等の免除請求を理由として、不利益な取扱いをしてはなりません(均等法9条、性別を理由とする差別禁止指針)。

上司・同僚によるマクバラ予防も措置義務とされています(同11条の2、マタハラ指針)。

次に、産前休業は請求が前提、産後休業は強制付与とされています(労基法65条)。

ですから、産後休業中は、時間外はおろか「短時間の会議出席」等の要請もできません(産後6週間経過後は、本人の請求と医師の認定を要件に就労可能)。

産休が明けた後、本人から適法な育児休業の申出があれば、事業主は拒むことができません(育介法5条)。

仮に所定外労働の制限の請求が出されていたとします(育介法16条の8)。

同条には「事業の正常な運営を妨げるときは、この限りでない」という文言があります。

しかし、産後1年が経過するまでは、それとは別に労基法に基づく時間外免除の請求ができ、事業主は拒否できません。

このほか、育介法によるマタハラ規定にも留意が求められます。

【健康保険法】保険請求は会社で?
2018/11/28
■ 休職中の傷病手当金

【問】

業務上災害のとき、会社側が保険給付の手続きをします。

一方、私傷病で休職中の従業員が傷病手当金の請求をする際も同様に考えて良いのでしょうか。

● 労働者主体も「協力」を

【答】

労災に関しては、保険給付を受けるべき者が、事故のためみずから保険給付の請求を行うことが困難である場合、事業主は、助力しなければならない(労災則23条)としています。

一方、健保の傷病手当金を受けようとする者は、申請書を保険者に提出しなければならない(健保則84条)としていて、助力の規定はとくにありません。

ただし、同条2項2号は、「労務に服することができなかった期間」(4号)、「被保険者が報酬の全部または一部を受けることができるときは、その報酬の額および期間」(5号)に関する事業主の証明書を添付するよう求めています。

この点、申請手続きに対する「協力義務」があるとする一方で、「用紙を準備したうえで、従業員にサインを求めるべき義務があるとまでは解し難い」とした判例(ジェイテクト事件、東京地判平23.12.27はあります。

同訴訟のように従業員から満足な説明もなく請求を妨げたとクレームを受けないように、他山の石とすべきでしょう。

【労働基準法】男女差別に該当するか
2018/11/28
■ 扶養手当を夫へ支給

【問】

職場結婚し共働きで子育てをする社員に対し、男性に扶養手当を支給する慣例が「差別では」といわれました。

やはり問題でしょうか。

● 理由が性別なら違法に

【答】

雇用における男女差別禁止はその多くが均等法に規定されていますが、「賃金」について男女で差をつけることを禁じる規定は、均等法等が制定される以前から労基法4条に定められています。

賃金に関する「差別的取扱い」の例としては、性別を理由とした異なる賃金表や、性別により月給制と日給制に分けることなどが挙げられ、女性を不利に取り扱うだけでなく有利に取り扱っても同条に抵触します(昭22.09.13発基17号)。

扶養手当や住宅手当も賃金の一部であり、男性または女性のみに支給することはできません。

夫婦の一方を扶養する者を「世帯主」として手当を支給していた会社で、その後扶養されていた配偶者の収入が増加した際、男性はそのまま世帯主として手当を支給するのに対し、女性を世帯主として認めず手当を打ち切ることも違反とされています
(仙台高判平04.01.10「岩手銀行事件」)。

実質的に扶養をしている側に手当を支給するというのであれば差別にはなりませんので、本人たちの選択に基づき、どちらに支給するかを決めるのが妥当と思われます。

【労働基準法】産休として扱えない?
2018/11/28
■ 出産遅れて休業延長

【問】

就業規則を作る際、女性社員が最長で出産予定日の1ヵ月半前から休みを取れるようにしました。

ところがこの制度を利用した社員が、初産だったこともあり出産が予定日から10日近く遅れてしまいました。

予定日の1ヵ月半前から休みを取得していたため、当該1ヵ月半を超えて休んだ日は欠勤や年休取得といった扱いにせざるを得ないのでしょうか。

● 実際の出産日まで産前休業

【答】

労基法65条1項により、原則6週間以内に出産する予定の女性が産前休業を請求した場合は、使用者は必ず請求に応じなければなりません。

就業規則等で「1ヵ月半」とした場合、6週間未満だと同項に抵触しますが、月の日数が最も少ない2月でも半月は14日でちょうど2週間ですから、通常6週間以上の日数となり、この点で問題になることはあまり想定できないでしょう。

ただ、いつ出産するかで取得できる日数が異なってしまうので、公平を期すうえでは「6週間」等に修正したほうが良さそうです。

同項は、6週間以内に出産する予定の女性が「出産の日」まで産前休業を取得できるという趣旨で、実際に出産した日までが産前の期間に入ります(昭25.03.31基収4057号)。

就業規則上も、出産が遅れ休業が1ヵ月半を超えても、そのまま産前休業にすべきという結論になります。

【労災保険法】窓口で支払い必要か
2018/11/28
■ 通勤災害の療養給付

【問】

業務上や通勤災害が発生した際の連絡体制フローをまとめています。

保険給付も比較してみたところ、病院で診療を受けたときに通災は一部負担金が必要ということですが、これは窓口で直接支払うことになるのでしょうか。

● 休業給付から控除

【答】

業務上災害と通勤災害では、病院にかかった際の療養(補償)給付に関して違いがあります。

通災の療養給付は、200円の一部負担金を徴収するとしています(労災法31条2項)。

ただし、同一の通災で一部負担金を納付した者等に、適用はありません(労災則44条の2第1項3号)。

徴収方法として、法31条3項では、労働者に支払うべき保険給付の額から一部負担金の額に相当する額を控除できる、としています。

具体的には、療養給付を受ける労働者に最初に支給する休業給付であって最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額は、一部負担金を減じた額としています(法22条の2第3項)。

被災者が病院に直接支払うのではなく控除ということになりますが、休業給付を受給しない者については一部負担金の徴収は行わない(昭55.12.05基発673号)としています。

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