【労働基準法】休み増やして賃金減は?
2018/04/13
■ 所定労働日数が減少・・・非正規には影響大きい

【問】

次年度の休日数を増やす方向で、労組と話し合っています。

当社労組は正社員(月給制)を組織するので、賛成の意向を示しています。

しかし、当社では日給月給制の従業員も雇用していて、所定労働日数の減少は賃金の減額につながります。

これは、非正規社員を対象とした「不合理な格差」とみなされるのでしょうか。

● 時給変えず影響最小限に

【答】

所定労働日数の増減は、賃金体系の相違によって、及ぼす影響も異なります。

月給制では、月の所定労働日数の多寡に関係なく一定額が支給されます。所定労働日数が変動した場合、所定内賃金は固定されたままですが、割増賃金の単価は再計算が必要になります。

日給・時給制であれば、所定労働日数の増減が、月間の所定内賃金にストレートに反映されます。

一方、割増賃金の単価は据え置かれます。

ですから、休日増という方針に関し、月給制グループと日給制等のグループでは利害が相反します。

月給の従業員が賃金据置きなのに対し、日給等の従業員は賃金が減るため、確かにバランス面で問題なしとしません。

しかし、日給制等を単独で考察すれば、賃金の減額はその分の労務不提供による当然の帰結です。

週の労働時間が40時間に短縮された当時の行政解釈ですが、時短に伴う賃金額の改定に関し「時間当たりの賃率に減少を伴わないものは合理性が認められる」と述べたものがあります(昭56.02.26基発114号)。

基本的には、休日増の必要性・従業員が被る影響等も踏まえ、労働条件の不利益変更の合理性が問われることになります(労契法10条)。

賃金体系の違いにより待遇面で差が生じる点に関連して、「不合理な労働条件(格差)の禁止」(労契法20条等)という問題にも触れておきます。

正社員に月給制、非正規社員に日給・時給制を適用するのは、現行では普遍的なパターンです。

しかし、「正社員に対して年齢給と生活手当を提供しつつ、非正規労働者に対しては職務給(時間給)のみを提供しているという場合、キャリア・コースによる違いという説明があり得るとしても、なお職務内容の観点から整合性が検討される(必要がある)」点には留意が求められます(荒木尚志ほか「詳説労働契約法」)。

【育児介護休業法】法律上の救済あるか
2018/04/13
■ パタハラ受けた男性

【問】

休暇の推奨など父親の育児参加が盛んにいわれていますが、会社で不利を被った場合に法律等で救済されることはあるのでしょうか。

● 男女ともに同様の規定

【答】

女性労働者の妊娠や出産を理由とした不利益取扱いや嫌がらせは「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」と呼ばれていますが、父親として育児に積極的に参加する男性労働者に対する「パタニティー・ハラスメント(パタハラ)」という言葉も浸透しつつあります。

マクバラについては均等法9条および11条の2で、不利益取扱いの禁止や、上司や同僚の言動等による就業環境の劣化を防ぐ措置義務が規定されていますが、父親である男性労働者が母親に代わり、あるいは両親一緒に育児休業を取得することや、フレックス勤務を選択することに対する不利益取扱いについては育介法に規定があります。

育児休業を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(育介法10条)は、対象を女性に限定していません。

就業環境に関する措置(同法25条)も、マタハラのみならずパタハラをも想定したものです。

さらに昨年10月から子の看護以外の事由で取得できる「育児目的休暇」の付与も努力義務として規定され、男性が育児に参加しやすい職場環境作りが求められています(同法24条1項)。

【労働基準法】意見書にサインは必要か
2018/04/13
■ 就業規則改定する手続き

【問】

4月の制度改定に伴い就業規則を見直しました。

当社の労組はいわゆる少数労組のため過半数代表者から意見聴取しましたが、改定案の提出が遅れたことを理由に意見書のサインを拒否されました。

どのような影響があるのでしょうか。

● 聴取の機会設けた証明を・・・労組と協議必要な場合も

【答】

労基法90条の「意見を聴かなければならない」という規定の意味は、協議決定を要求するものではなく、意見を聴けば足り、必ずしもその意見に沿った内容にする必要はない(昭25.03.15基収525号)とされています。

意見書の内容が、反対であってもその反対理由の如何を問わず、その効力発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力に影響はない(昭24.03.28基発373号)ということになります。

使用者として意見を聴く場合に、どの程度の手続きなり方法が法的に要求されるのでしょうか。

労基法90条は、労働者に一定限度の発言権を与え、それによって就業規則の内容に関する関心を高め、かつ内容をチェックさせる目的(菅野和夫「労働法」)とされています。

判例では、意見を聴くとは「労働者過半数の意見が十分に陳述された後、これが十分に尊重されたこと」が必要としていて、すなわち、意見を「十分に陳述する機会と時間的余裕が与えられた」ことを要件としています(東洋精機事件、神戸地尼崎支判昭28.08.10)。

過半数代表者の選出時には、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかに」する必要があります(労基則6条の2第1項)。

上記判例の「時間的余裕」の観点からは内容を明らかにしたうえで意見聴取というのが望ましいということになるでしょう。

流れとして、

@ 使用者の方で就業規則案(あるいは確定でもよい)を作成、

A 過半数代表者等に提示し、

B その意見を聴取(文書)、としたものがあります(安西愈「採用から退職までの法律実務」)。

意見書に関して、労基則49条2項では、労働者を代表する者の署名または記名押印のあるものでなければならないとしています。

ただし、行政解釈では「意見を聴いたことが客観的に証明できる限りこれを受理する」(昭23.05.11基発735号、昭23.10.30基発1575号)としています。

少数組合との関係ですが、意見を聴くことが望ましい(昭23.08.03基収2446号、昭63.03.14基発150号)とされているほか、労組との協定で「就業規則の変更は組合の同意を得て行う」「組合と協議の上決定する」といった協定が結ばれている可能性があります。

この場合、単なる意見聴取にとどまらず、「団休交渉の場において決定する建前をとっていると解釈すべき」(労基法コンメンタール)としている点、注意が必要でしょう。

【労働基準法】年休取得日が最賃割れ?
2018/04/13
■ 月で異なる所定労働日

【問】

時給で働いていますが、月の所定労働日はまちまちです。

先日、給与明細をみた際に、年次有給休暇を取得した日の賃金を時間換算すると最低賃金を下回っていました。

違法なのかどうか分かりませんが、なぜこのようなことが発生してしまったのでしょうか。

● 平均賃金は暦日ベース・・・歩合給部分も対象に

【答】

給与明細で別々に記載されているというのは、年休を手当等として、「基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額」を記載した計算書を交付(平10.09.10基発530号など)しているということでしょう。

労基法39条7項では、年休に対して、以下の3つの賃金の支払いを認めています。

@ 平均賃金

A 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

B 健康保険法に定める金額

いずれにするかは就業規則等(Bは労使協定も必要)で決めておく必要があります。

Aについて、時給であれば、その日の所定労働時間分か支払われます。

仮に基本給部分に加えて増産手当や生産奨励手当などいわゆる歩合給部分がある場合でも、当該賃金算定期間における総労働時間で除した金額に、当該賃金算定期間における「1日の平均所定労働時間」を乗じて求めることになります(労基則25条1項6号)。

時給は、その日の所定労働時間数であるのに対し、歩合給の場合は平均で決まります。

Bはレアケースですが検討してみましょう。

社会保険に加入しているとして、健康保険料は、報酬月額に基づく等級ごとにベースが決まります。

例えば146,000円から155,000円であれば、15万円(12級)といった具合です。この額を30分の1した額が1日当たりの額です。例でいうと5,000円になります。

報酬額、1日の所定労働時間の組合せによっては、最低賃金を下回る可能性がありそうです。

@は、3ヵ月の賃金総額をその期間の総暦日数で除した額(労基法12条)が原則です。こちらは、割増賃金等も考慮しなければならないのに対し、Aは所定労働時間に応じて支払われる賃金のイメージです。

所定労働時間労働した場合に支払われる賃金の計算方法について労基則25条によれば、Aを所定内のものとしているのに対し、@は、賃金総額がベースとなるため割増賃金なども考慮しなければなりません。

@には、原則で計算した額と最低保障額を比較する仕組みがあります。

実労働日数が少ない人は、3ヵ月の総暦日数で除してしまうと、1日当たりの額が低く抑えられてしまいます。

そこで、賃金総額を「その期間中に労働した日数で除した金額の6割」を算出します。

年休を取得した日にいくら支払うかは労基法上の計算であれば足り、結果として最低賃金を下回る可能性はあります。

【労働基準法】就業規則の「周知」とは?
2018/04/13
■ 常時閲覧がしにくい現場

【問】

当社は、建設会社ですが、就業規則の周知について質問があります。

工事現場で監督者が規律違反者を注意したところ、当人は「就業規則をみたことがないから、服務規律も知らない」と反論しました。

当社では、会社のHP上で就業規則の確認ができます。

周知義務は果たしていると考えますが、いかがでしょうか。

● 請求時の提示も含まれる・・・「作業場」ごとに必要

【問】

まず、周知義務の内容を再確認しましょう。

使用者は、労基法等の要旨、就業規則、労基法に基づく労使協定、労使委員会の決議を、「常時作業場の見やすい場所へ掲示その他の方法によって労働者に周知」する義務を負います(労基法106条)。

大多数の会社では就業規則中に服務規律の章等を設けていますが、就業規則である限り周知義務の対象となります。

条文上、周知は「事業場単位」ではなく 「作業場単位」となっています。

作業場とは、「事業場内において密接な関連の下に作業が行われている個々の現場をいう」と解説されています(昭23.04.05基発535号)。

建設現場は、「現場作業所があって、現場で労務管理が一体として行われている場合を除き、直近上位の機構に一括」されます(平11.03.31基発168号)。

小さな工事現場(事業場の外にある場所)については、営業所など直近上位の事務所の中で、作業場単位で周知すれば足りると考えられます。

労基則では、周知の方法として以下を挙げています(52条の2)。

@ 常時見やすい場所に掲示または備え付け

A 書面交付

B 磁気ディスクその他に記録し、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置すること

貴社では、会社HP上で閲覧可能な体制を整えていますが、解釈例規では「作業場にパソコン等を設置し、かつ、労働者に機器の操作の権限を与えるとともに、その操作の方法を労働者に周知させる」ことも要件としています(平11.01.29基発45号)。

就業規則をどのように閲覧するか(パスワード等の周知も含め)、必要な情報をきちんと提供しておく必要があります。

また、「タブレット、携帯でみればよい」と突き放すのではなく、本人の希望があれば、管理職・人事課員等が手持ちの機器で対応することも必要でしょう。

「労働者の請求があった場合にみせる方法でも」備え付けと認められると解されています(平11.03.31基発169号)。

それを読んでいなくても、「労働契約の内容は就業規則で定める労働条件による」と規定されています(労契法7条)。

【労働基準法】週の変形制採用できるか
2018/04/13
■ 異なる事業混在したら

【問】

業務の繁閑に対応するため変形制を検討しています。変形期間には、「週」「月」「年」があります。

週単位は、事業の種類が制限されるようですが、1日の中で小売と製造が混在するときどう扱うのか、「週」がダメなら「月」を検討するのはどうでしょうか。

● 独立性なければ一括も・・・「月」は始業終業を特定

【答】

1週間単位の労働時間制(労基法32条の5)は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多いが、忙しい日にはある程度長く働くかわりに、忙しくない日は労働時間を短縮したり、休日にするといった弾力的な運用を可能にする制度です(昭63.01.01基発1号)。

1週間単位の非定型労働時間制を導入するための要件は、次のとおりです(労基則12条の5)。

@ 小売業、旅館、料理店、飲食店の事業で常時30人未満の労働者を使用する事業場であること、

A 労使協定において、下記Bの事項を締結し、労基署へ届け出ること、

B 1週間の所定労働時間として40時間以内の時間を定めること(法32条の5第3項)、

C 1日の所定労働時間は10時間を限度とすること、

D 原則として前週末までに当該週の各日の労働時間を書面で通知すること

効果として、あらかじめ特定された日について、法定労働時間(8時間)を超えて労働させることができるようになります。

・ 適用対象外業務の取扱い

労基法32条の5は、「事業単位」で適用されます。事業とは、すなわち、「同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労基法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とすること。…

なお、個々の労働者の業務による分割は認めないこと」(昭22.09.13発基17号)としています。

個々の業務ではなく、事業の独立性が問題といえるでしょう。

・1ヵ月変形制との相違

法的には1週間や2週間単位であっても 「1ヵ月以内の一定の期間」として、1ヵ月単位の変形労働時間制(法32条の2)の範疇となります。

両者で何か異なるといえば、労使協定または就業規則等における各日、各週の労働時間の特定です。

1ヵ月変形制が勤務割表を作成する場合に「始業終業時刻、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続」を定めることを要件としているのに対し、週の変形制は、就業規則等で「各日の労働時間を特定することが困難」な事業(法32条の5)に適用が認められます。

各日、各週の労働時間を具体的に始・終業時刻を特定する形で定める必要はなく、これがまさに、「非定型的変形労働時間制」といわれるポイントです。

【労働基準法】自然退職ではなく解雇
2018/01/10
■ 私傷病から復職メド立たず

【問】

私傷病で休職中の従業員がいますが、まもなく期間満了となります。

今も復職のメドが立たず、このままでは退職とせざるを得ません。

当社の就業規則をみると、「期間満了までに休職事由が消滅しないときは、解雇する」という文言となっています。

解雇ですから、期間満了の日前に予告を発しておくべきでしょうか。

● 期間満了日に実施を

【答】

私傷病で労働の提供ができない場合、最初に年休を消化し、次に欠勤状態となります。

しかし、正社員等を対象として、「私傷病休職」の規定を設ける会社が少なくありません。

欠勤が一定期間続いた後、「休職」が発令され、労働義務が免除されます。

会社が定める休職期間内に就労可能となれば復職となりますが、回復しなければ退職・解雇となります。

休職制度の趣旨は、一般に「解雇猶予である」といわれています。

貴社の就業規則では解雇と記載されているので、「自然退職」ではなく、解雇の手続きを要します。

「期間満了の30日前の予告」を検討されているとのことですが、厳密にいうと問題の余地なしといえません。

予告は、「いつ解雇されるのであるかが明確に認識できるように解雇の日を特定して」行うべきとされています(労基法コンメンタール)。

「条件付きの予告は、法20条の予告とは解しがたい」とされています。

一方で、解雇猶予の効力は期間満了日まで存続します。

傷病が回復すれば、復職を申し出る権利が保留されています。

それにもかかわらず、期間満了の30日前に「解雇処分を確定」するのは矛盾ともいえます。

解釈例規では、「『労働協約所定の期間を超えたとき』の労働契約の終了は労基法20条にいう解雇であり、同法所定の解雇予告をしなければならない」と解説しています(昭27.07.25基収1628号)。

予告の時期は、本来的には「所定期間を超えたとき」です。

休職期間が3ヵ月以上であれば、予告手当を払って即日解雇としても、「平均賃金はゼロではないか」という意見もあります。

しかし、休業期間が算定事由発生日以前3力月以上にわたる場合、「休職の最初の日をもって事由発生日とみなす」という扱いが示されています(昭24.04.11基発421号)。

【職業安定法】深夜込みで時給表示は
2018/01/10
■ 募集採用ルール教えて

【問】


当社では、24時間営業の店舗を経営しています。

アルバイトを採用する際、労働時間が深夜帯に及ぶときには、深夜割増賃金込みの時給を表示しています。

募集・採用のルールとして問題ないのでしょうか。

● 「割増部分」を明らかに

【答】

労働者の募集を行うに当たっては、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(職安法5条の3)。

賃金に関しては、賃金形態(時給等の区分)、基本給、定額的に支払われる手当などを明示します。

平成30年1月から、一定時間分の時間外労働、休日および深夜労働に対する割増賃金を定額で支払うとき、いわゆる固定残業代を導入している場合には、計算方法を明示する必要があります(平29.06.30厚生労働省告示232号)。

表示された基本給に深夜割増賃金をいくら含むのか、あるいは基本給を表示したうえで、別途深夜割増賃金が支給されることを明らかにしましょう。

法42条では、労働条件の明示に当たって、労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならないとしています。

【労働基準法】有期労働の解約不可?
2018/01/10
■ 期間途中に退職する意向

【問】

3年契約を更新して長年働いている優秀な契約社員がおり、今後無期労働契約への転換を希望した場合は応じるつもりでおりました。

ところが本人に海外移住の意向があり、近いうちに契約を打ち切りたい旨打診されています。

引き止めるのは難しいと思いますが、有期労働契約は原則途中解約できないそうなので、今回の契約で残っている期間中は当社で働いてもらうようにしても良いでしょうか。

● 労働者は1年経過で退職可

【答】

有期労働契約では、労契法18条に基づく「無期転換」が適用されるケースが生じますが、そもそも有期労働契約で定めることのできる期間は一定の場合を除き、3年が限度です (労基法14条)。

法の制定当時、使用者が労働者を不当に拘束することを防ぐ趣旨から、法定の期間を超える契約は、その超過した期間については無効となる強行規定とされました。

「無期転換ルール」は近年の社会情勢等に鑑み、労働者の雇用の安定を図るために新設された制度ですが、従来の有期労働契約でも解約できるのはやむを得ない事情がある場合で、当事者に過失があれば損害賠償責任も生じます(民法628条)。

ただし労働者側からは、原則として契約期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることでいつでも退職できることとされています(労基法附則137条)。

【厚生年金法】遺族年金は支給されるか
2018/01/10
■ 国年未納期間ある退職者

【問】

定年で退職された方から、遺族年金のことでお電話をいただきました。

在職中に病気で手術され、再雇用を選択せずに、完全リタイアされたという経緯があります。

最近、体調がすぐれず、「万が一」を考えて質問があったわけです。

この方は中途採用で、かなり国民年金の未納期間があるようですが、年金の受給に問題があるでしょうか。

● 退職前1年間納付が必要・・・初診日から5年以内なら

【答】

心配のタネを除くため、遺族基礎・厚生年金の受給要件を確認しておきましょう。

完全リタイアされているので、厚生年金の被保険者資格は喪失しています。

60歳を超えているので、国民年金の被保険者資格を取得する必要もありません。

厚年・国年ともに被保険者でありませんが、この点は問題になるでしょうか。

まず、遺族基礎年金ですが、支給要件の1つとして「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものの死亡」が挙げられています(国年法37条2号)。

次に、遺族厚生年金では、「被保険者であった者が、被保険者であった間に初診日のある傷病により初診日から5年を経過する前に死亡したとき」という項目があります(厚年法58条1項2号)。


対象となる家族がいて、上記の要件も満たすとして、保険料の納付要件もチェックする必要があります。

原則として、被保険者期間のうち「保険料納付済期間と免除期間の合算期間が3分の2以上」なければいけません。

つまり、滞納期間が3分の1以上だと問題が生じます。

しかし、「死亡月の前々月までの1年間に滞納がなければ」要件を満たしたとみなす経過措置(平成38年4月1日まで)があります(国年法昭60附則20条2項)。

被保険者でなくなった人については、「直近の被保険者期間に係る1年間」と読み替えます。ご質問者は国民年金の未納期間があるようですが、「退職前に1年間、厚生年金の被保険者期間(=保険料納付済期間)があれば」要件をクリアできます。

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