【労働基準法】平均賃金の起算日はいつ?
2018/09/26
■ケガ当日に賃金締切日・・・「労災待期」暦日で判断

【問】

2暦日勤務の怪我に関する記事を読みましたが、平均賃金について疑問が生じました。

一般には、「賃金締切日」を起点とするので、問題となるケースは少ないと思います。

しかし、たまたま2暦日のうちどちらかが賃金締切日に当たった場合、どのように考えるべきでしょうか。

●交替制は初日発生と扱う

【答】

午後12時をまたいで勤務するシフトには、2とおりがあります。

第1は、通常の1日分勤務(8時間等)が2暦日にわたるタイプ、第2は1昼夜16時間隔日勤務のような形で2日にわたって勤務する夕イプです。

平均賃金は、「算定すべき事由の発生した日以前3ヵ月間の賃金総額を総日数で除して」算出するのが原則です(労基法12条1項)。

まず算定事由発生日の確認ですが、災害補償は「死傷の原因たる事故の発生の日または診断によって疾病の発生が確定した日」と規定されています(労基則48条)。

なお、「以前3ヵ月」という文言となっていますが、「事由発生日は含まれない」という解釈となっています(労基法コンメンタール)。

たとえば10日と11日にまたがるシフトが組んであって、午後12を過ぎた後にケガが発生したとします。

この場合、平均賃金の起算日はいつになるかがご質問の趣旨です。

解釈例規(昭45.05.14基発374号)では、「一昼夜交代勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当なときは、原則通り1勤務を2日の労働として計算する」と述べています(前記の第2タイプ)。

一方、第1タイプに関しては、「勤務の2暦日目に算定事由が発生した場合には、当該勤務の始業時刻の属する日に事由が発生したとして取り扱う」としています。

この場合、11日に事故が起きても、算定事由発生日は10日とみなされます。

さらに、「事由発生日は含まれない」ので、平均賃金の起算日は9日になります。

ご質問にあるとおり、「賃金締切日がある場合は、直前の締切日から起算する」(労基法12条2項)ので、通常、この1日の差は問題になりません。

しかし、仮に賃金締切日とバッティングするときは、解釈例規に従って適切に処理する必要があります。

【厚生年金法】3級から手当金に変更か
2018/09/26
■ 障害が軽快したと診断

【問】

当社で雇用している障害者ですが、障害等級3級で障害厚生年金を受給していました。

ところが、症状が軽快したことにより、3級に該当しないと判断されました。

3級より軽い状態に対する保険給付として、障害手当金があります。

手当金の請求ができるのでしょうか。

● 支給停止で切替えなし・・・別の傷病なら可能性も

【答】

厚生年金では、障害に対する給付として、1級から3級までの障害厚生年金と一時金の障害手当金を設けています。

年金の対象となる障害等級1級〜3級に該当するか否かは、障害認定日に決定されます (厚年法47条)。

障害認定日は、傷病の初診日から1年6月を経過した日または症状が治ゆした日のいずれか早い日です。

一方、障害手当金は3級より軽い障害状態を対象とする給付で、「初診日から5年を経過するまでの傷病の治った日」の時点で認定を行います(厚年法55条)。

こちらは、「傷病が治ったこと(治ゆ)」が前提となります。

障害年金の場合、障害等級がいったん決定されても、「障害等級に該当しない状態となったときは、その間、支給を停止」します(厚年法54条2項)。

お尋ねの方は、障害等級3級に該当しなくなったので、現在、年金を受けることはできません。

しかし、これは「支給停止」であって、受給権そのものを喪失したわけではありません。 障害厚生年金の失権事由は、次のとおり定められています(厚年法53条)。

・ 死亡したとき

・ 65歳に達したとき(障害状態に該当しなくなった日から3年を経過しないときを除く)

・ 障害状態に該当しなくなった日から3年を経過したとき(65歳未満であるときを除く)

お尋ねの方は支給停止となってすぐですから、症状が悪化すれば、再び年金を請求する権利を保持している状態にあります。

既に障害等級3級の認定を受けたという事実は消えません。

ちなみに、この方が、別の障害で障害手当金の対象となる障害の状態となったとします。この場合、厚生年金・国民年金等の年金給付の受給権者については、制限が課せられています(厚年法56条)。

基本的には、年金の受給権者は障害手当金を受けることができません。

例外として、「最後に障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年を経過した障害厚生年金の受給権者は除く」とされています。

こうした方が、別の傷病により障害手当金の要件を満たせば、手当金を受給することができます。

【労働基準法】平均賃金の額が過大に?
2018/09/26
■ 年俸制は賞与含むと聞き

【問】

パワハラがあったと訴えがあり、調査の結果、部長・課長に減給処分を科すことになりました。

当社では、部長級管理職は年俸制の対象者ですが、「年俸制の場合、賞与も含めて平均賃金を計算する」という話を聞いた記憶があります。

しかし、課長(月給制)と比べると、「額が大きくなりすぎる」気もします。

問題ないのでしょうか。

● 内訳が明確なら賞与含む・・・賃金規程を確認する必要

【答】

減給の制裁は、1事案について平均賃金の2分の1を上限とします(労基法91条)。

平均賃金は、原則として「発生した日以前3ヵ月間の賃金総額を、その期間の総日数(暦日数)で除して算定」します(同12条1項)。

賃金の総額には、「臨時に支払われた賃金、3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」等は算入しません(同条4項)。

「3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」の代表例が、夏冬に支払われる賞与(ボーナス)です。

お尋ねのケースで、課長さんの平均賃金に関しては、ボーナスを除き、3ヵ月の給与総額を暦日数で除して平均賃金を計算します。

一方、部長さんですが、年俸制適用労働者については「割増賃金および平均賃金の算定方法」を定めた解釈例規が存在します(平12.03.08基収78号)。

「賞与とは支給額が予め支給額が確定されていないものをいう」(昭22.09.13発基17号)という過去の解釈例規を引用しつつ、「年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与部分は『賞与』に該当しない」という考え方を示しています。

ですから、平均賃金を算定する際も、「毎月払い部分と賞与部分を合計した額」を基準とするという結論になります。

ただし、注意が必要なのは、すべての「年俸制」にこの解釈が適用されるのではない点です。

本来、年俸制というからには、最初に年間の総支払額を決定し、それを例えば16分割し、各月にはその12分の1、夏冬に12分の2を支払うという形をとるのが一般的です。

しかし、年俸制の定義があいまいなため「予め年俸額が確定していない」場合もあり得ます(解釈例規も、それを想定した書きぶりとなっています)。

月払いの金額の12倍を「年俸」として定め、それとは別に査定による変動幅の大きい「業績賞与」を組み合わせるタイプも、広い意味での年俸制と呼ぶことがあります。

そうした仕組みを採る場合は、年俸制の対象者であっても、「業績賞与部分」を除いて平均賃金を計算することになります。

貴社の「年俸制」が、どのような規定になっているのか、確認してみてください。

【労働基準法】週の端数1日に割増必要か?
2018/08/09
■ 1年変形労働制を採用・・・年365日は52週と1日

【問】

当社では1年単位変形労働時間制の採用を検討しています。

役員会用に説明資料を作成中ですが、時間外労働の計算について質問があります。

「1週間単位」でも時間外発生の有無を確認する必要があるといいます。

年間365日を7日で割ると端数が出ますが、端数の週はどのように考えるのでしょうか。

● 8時間超えた分が対象

【答】

1年単位変形労働時間制(労基法32条の4)は、「1年の労働時間平均が40時間以内であれば、割増賃金を要しない制度」といういい方がされます。

しかし、厳密にいうと、次の3パターンで時間外労働が発生します。

@ 所定労働時間が8時間を超える日はその所定労働時間を超えた分、8時間以内の日は8時間を超えた分

A 所定労働時間が40時間を超える週はその所定労働時間を超えた分、40時間以内の週は40時間を超えた分(@の対象となった分を除く)

B 対象期間全体については次の総枠を超える分(@Aの分除く)

40時間×対象期間の日数÷7日

ご質問は、このうちAに関する部分です。

365日を7日で割ると、52週と1日になり、端数が出ます。

端数の問題は、一ケ月単位変形労働時間制でも生じますが、こちらは労基法コンメンタール中に説明があります。

「1週間については暦週(日曜〜土曜)でみるのが原則だが、事業場において週の起算日を変形期間の開始の日から捉えることとしている場合には、変形期間の最後の端数日数については『40時間×端日数÷7日』でみることも差し支えない」とされています。

1年の最後の端数(閏年以外は1日)は、「40時間×1日÷7日=5.71時間」が基準となります。

これを前出のAに当てはめると、時間外の対象となるのは、「所定労働時間が5.71時間を超える週はその所定労働時間を超えた分、5.71時間以内の週は5.71時間を超えた分」です。

最後の1日が出社日で所定労働時間が8時間だったとすると、その週(端数1日だけの週)の所定労働時間も8時間となり、5.71時間を超えています。

結局、通常どおり8時間を基準として、それを超える分が時間外となります(@の規定によりカウントする)。

【労働基準法】完成できないと解雇?
2018/08/09
■ 成果物求められる業務

【問】

デザイナーの仕事をしている知人が、会社の望むような成果物が完成しなかったことを理由に、会社を辞めるかどうかでもめているそうです。

不当解雇になるのではという意見もある一方で、デザインの完成を期待されている以上、結果を出せなければやむを得ないのではないかという意見もあるのですが、どのように考えたら良いのでしょうか。

● 労務の提供で債務は履行に

【答】

請負(業務委託)で仕事をする場合は、完成品を納品できなければ契約が打ち切られる場合がありますが、労働契約を交わした雇用では就業規則にない理由での解雇は労基法89条3号に反します。

就業規則に定めがあっても、理由が客観的に合理的でなく社会通念上相当と認められない解雇は、権利の濫用とされ無効です(労契法16条)。

請負契約は「仕事の完成」により報酬を受けるので、成果物が完成しなければ債務不履行となり発注者が契約を解除し得るのに対し、雇用(労働)契約は「労働の従事」について対価を受けるので、労務を提供すれば債務を履行したことになり、未完成でも契約違反になりません(民法623条、632条)。

使用者が雇用する労働者を勤務成績不良等の理由で解雇できるのは、教育指導を行うなど手を尽くしても改善がみられないような、やむを得ないケースに限られることになります。

【労働基準法】雨天順延で休日に?
2018/08/06
■ 屋外のイベント業務

【問】

年間を通して屋外のイベントを手掛けているため、梅雨の時期になると毎年天候に悩まされます。

開催当日の朝に雨で順延になると、スタッフに急遽休みを取ってもらって、当初休日扱いにしていた翌日に出てきてもらわないといけなくなったりします。

開催が中止になった日について無給にするのは問題があるとも聞いていますが、どのように対処したら良いでしょろか。

● 前日中止なら振替ができる

【答】

休日は原則として1週間に最低1日は付与するものと定められており(労基法35条1項)、そのため毎週決まった日を休日にしている企業等も多いでしょう。

屋外での作業など天候により遂行できなくなるような業務については、休日はなるべく一定日に与えつつ、雨天の場合に休日を変更できる旨を規定することが望ましいとされています(昭23.04.26基発651号ほか)。

ただし、労働日の当日に業務がなくなったときはその日を休日とはできず、労基法26条の休業手当を支払う必要が生じます。

休業の理由が使用者の貴に帰すべきでない場合は除かれますが、自然災害ではなく単なる雨天による中止や順延は該当しません。

仮に天気予報等であらかじめ中止が決まれば、前日までに休日の振替を行うことによって、当初の開催日を休日とすることは可能です。

【育児介護法】深夜免除し賃金減るか
2018/08/06
■ 昼間勤務の確保困難

【問】

当社では交代で深夜に及ぶ勤務シフトがあります。

育児のため深夜業の免除請求があったとき、拒否するつもりはないのですが、昼間の業務が少ないため勤務時間が減り、賃金も減ると不利益取扱いでしょうか。

● 不利益取扱いには該当せず

【答】

小学校就前の子を養育する労働者は、午後10時から午前5時までの深夜労働の拒否を請求できます(育介法19条)。

ただし、配偶者が深夜に就業せず自宅にいるようなときには、事業主は深夜業免除の請求を拒否できます(育介則60条)。

なお、両立指針(平21・厚労省告示509号)は、弾力的な利用が可能となるよう配慮を求めています。

厚労省「育児・介護休業法のあらまし」では、深夜業の制限が適用される労働者について、昼間勤務での就業を希望しており、かつ代わりに就業させることができる同職種の昼間勤務が十分あるにもかかわらず、昼間勤務に就けさせず懲罰的に無給で休業させるといった取扱いは、深夜業の制限の制度の利用を躊躇させるものであり、不利益取扱いに当たるおそれがあるとしています。

昼間の勤務の確保自体は義務付けられておらず、その間無給であることは不利益取扱いには該当しません。

【労災保険法】深夜負傷して起算日いつ?
2018/08/06
■ 2暦日にわたるシフト・・・休業補償給付の待期期間

【問】

当社では、交代制により午後11時から翌朝7時まで、2暦日にまたがる勤務割を組んでいます。

このシフトに所属する従業員が、午後12時過ぎにケガをし、休業することになりました。

3日間の待期期間が満了した後、労災保険の休業補償給付を請求することになりますが、3日間の起算日はいつになるのでしょうか。

● 0時(24時)で分けてカウント

【答】

労災保険の休業補償給付は、「傷病による療養のため労務不能で賃金を受けない日の第4日目」から支給されます(労災法14条)。

最初の3日間は、事業主が労基法に基づく休業補償をする必要があり(労基法76条)、この3日間を待期期間と呼びます。

まず、待期期間カウントの基本を、確認しましょう。

負傷した当日については、「所定労働時間の一部休業の場合のみ休業日数に算入する」という解釈が示されています(昭27.08.08基収3208号)。

たとえば月の初日(1日)の終業時刻後に残業し、午後9時にケガをした場合、翌日(2日)から待期期間をカウントします。

仮に残業が長引き、午後12時を回った後で事故が発生したときも、同様に翌日(2日)が待期期間の起点となります。

しかし、お尋ねのケースでは、午後12時過ぎの事故ですが、所定労働時間内に発生しています。

月の初日と2日にまたがる勤務で、暦日でみれば2日に事故発生の場合、労災保険の請求は4日からでしょうか、5日からでしょうか。

この問題について、3交代制が対象ですが、次のような趣旨の解釈例規があります(昭28.05.07基収1825号)。

「災害は月の初日(1日)の所定労働時間中において発生したので、1日に災害が発生したとみなす」

「暦日によると2日に災害が発生したので、2日から計算する」という2つの見解のうち、後者により取り扱うべきとしています。

ちょっと紛らわしいのが、労働時間の計算です。

同じ3交代制連続作業についてですが、「2暦日にわたる勤務については、継続勤務は暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱うので、始業時刻の属する『1日』の労働と解する」とされています(昭42.12.27基収5675号)。

適用する条文により、解釈に違いがある点には留意が必要です。

【健康保険法】海外の家族も被扶養者?
2018/08/03
■ 本人のみ日本で保険加入

【問】

外国人を雇用する機会が増えていますが、健保の被扶養者のことで質問があります。

本人は日本で健保加入するけれど、家族が引き続き海外に居住するという場合、日本で被扶養者申請ができるのでしょうか。

● 続柄が分かる証明書必要・・・外国語の書面は翻訳文も

【答】

外国人であっても、日本で働く際には、健康保険に加入する必要があります。

ただし、短時間勤務等で加入要件を満たさないとき、社会保障協定(健康保険関連)の対象者であるとき等は除きます。

外国人雇用管理改善指針(平19.08.03厚労省告示276号)では、「労働・社会保険に係る法令の内容および保険給付に係る請求手続き等について、雇入れ時に外国人労働者が理解できるように周知に努めること。また、法令の定めるところにより、適用手続き等必要な手続きを取ること」を要請しています。

被扶養者となるのは、次の2タイプの親族です(健保法3条7項)。

・ 被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚含む)、子、孫および兄弟で、主としてその被保険者により生計を維持するもの

・ 被保険者の3親等内の親族で、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

居住地が日本国内か否かは、直接の要件とされていません。

被扶養者(異動)届を提出し、認定を受けることは可能で、年収(原則として本人収入130万円未満)等の基準も同じです。

しかし、日本国内と異なり、親族関係・生計維持関係の証明は簡単ではありません。

このため厚生労働省では、国内に住所を有しない被扶養者の認定に当たり必要書類等に関する解釈例規を示しています(平30.03.22保保発0322第1号)。

被保険者は、まず、被扶養者(異動)届に現況申立書を添付します。

海外居住の家族については、日本国内の公的機関で発行される戸籍謄本や家族証明等の提出は困難です。

この場合、以下の事項に関する書類も提出しますが、外国語で書かれているときは、翻訳者の署名付きの日本語翻訳文を付す必要があります。

@ 身分関係・・・続柄が確認できる公的証明書またはそれに準じる書類

A 生計維持関係

 ・ 収入の確認

   収入があるときは公的機関・勤務先から発行された収入証明書、ないときはそれを確認できる公的証明書またはそれに準じる書類

 ・ 仕送り額等の確認

   被保険者からの送金事実と仕送り事実について、金融機関発行の振込依頼書または振込先の通帳の写し

【労働基準法】期日前投票の指示可能?
2018/08/03
■ 仕事帰りに行くよう徹底

【問】

選挙の際には必ず投票に行くよう社員に呼びかけていますが、徹底させるために就業時間後に期日前投票に行くよう指示してはどうかと考えています。

このような形で労働者を拘束することは、問題があるでしょうか。

● 就業時間内に公民権行使・・・過度に強制するのは無理

【答】

法律では、労働者に「公民権の行使」を保障しています(労基法第7条)。

労働者が就業している時間内に「選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合」には、使用者はこれを拒否することはできません。

「公民としての権利」すなわち公民権の行使とは、国家または地方公共団体の公務に参加する権利のことをいいます。具体的には、首長・議員等の選挙権及び被選挙権のほか、特別法に基づく住民投票等も含まれます。

また裁判の訴権については、労働者が個人的に争っている民事訴訟は公民権に含まれませんが、行政事件訴訟法上の民衆訴訟や、公職選挙法に規定されている選挙人名簿や当選に関する訴訟については公民権の行使に該当するとされています(昭63.03.14基発150号)。

また「公の職務」とは、国会議員や地方公共団体の議員のほか、労働委員会の委員や労働審判員の職務が該当し、選挙においては選挙立会人の職務等が該当します。

民事訴訟や刑事訴訟も含めた裁判における証人や、平成21年から導入された裁判員制度の裁判員も「公の職務」に当たります。

一方、「単に労務の提供を主たる目的とする職務」は同条の公の職務ではないとされており、たとえば予備自衛官が訓練招集に応じる場合などが挙げられています(前掲通達、平17.09.30基発0930006号)。

公民権の行使のために労働者が職場を離脱する場合、有給にするか無給にするかは労使間の当事者で自由に定められるとしています(昭31.11.27基発399号)。

ただし、労基法7条は公民権の行使を「労働時間内」に行うことを規定したものであり、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り時間の変更は可能であっても、終業後の労働時間外にその実施を指令し、就業時間中の請求を拒否することは違法とされています(昭23.10.30基発1575号)。

もっとも選挙は休日に当たる人が多い日曜日に投票が行われることが常であり、当日に投票することを希望している人もいるでしょう。

そのような人にまで期日前投票を強いるのは無理だと思われますし、使用者が労働者を職場から投票に行かせた際に誰に投票したかを聴き取ったり、特定の候補への投票を促すような行為は、内心の自由を保障する憲法19条や秘密選挙を規定する公職選挙法52条等に違反するおそれがあります。

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